公務員の特別休暇の一種に短期の介護休暇があります。
その名のとおり、介護のために取得できる短期的な休暇です。
短期の介護休暇とは?
負傷、疾病または老齢により、2週間以上にわたり日常生活を営むことに支障がある親族の介護、世話を行うために勤務しないことが相当であると認められる場合に取得できる休暇です。
短期の介護休暇対象範囲
短期の介護休暇は、親族の介護のためでなくては取得できません。
そのため、
「友達の子供のお世話するから、短期の介護休暇をとろ〜」
ということはできません。
さらに、職員本人との続柄に応じて、
「職員と同居・別居を問わず取得できるもの」と
「職員と同居してしていることを取得要件とするもの」の2つに分類できます。
職員と同居・別居を問わず取得できるもの
配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹
職員と同居してしていることを取得要件とするもの
孫、父母の配偶者、配偶者の父母の配偶者、子の配偶者、配偶者、配偶者の子
基本的に、職員本人と親しい続柄であれば、同居・別居を問わず短期の介護休暇を取得できます。
反対に、職員と遠い続柄ほど、職員と同居していることを要件としています。
介護は、家族などの近い続柄の人が行うものという考え方に基づいています。
短期の介護休暇の付与期間・取得日数
短期の介護休暇は、介護が必要な親族の数に応じて取得できる日数が異なります。
短期の介護休暇の対象者が1人の場合
1年(暦年:1月1日~12月31日)につき日を単位として5日まで
短期の介護休暇の対象者が2人以上の場合
1年(暦年:1月1日~12月31日)につき日を単位として10日まで
介護する人の数が多ければ多いほど、短期の介護休暇の取得日数は多くなります。
ただし、短期の介護休暇の対象者が3人以上いたとしても、年間で取得できる日数は10日間が上限なのでご注意ください。
職務に支障がない場合は、時間を単位として取得できます
短期の介護休暇は、職務に支障がない場合のみ、時間単位で取得可能です。
時間を単位とする場合は、1日の勤務時間(7時間45分)をもって1日とします。
また、残日数に1時間のうち端数がある場合は分単位で取得できます。
短期の介護休暇は、救急休暇を使いきった後に初めて申請するケースが多いです。 「有給を使い切ってからでないと申請できない」というルールはありませんが、特殊な申請を必要とするため、極力申請を避けている人が多い印象です。
給料
短期の介護休暇取得に際して、給料は一切減額されません。
短期の介護休暇は、特別休暇と呼ばれる有給休暇の一種だからです。
短期の介護休暇の取得条件
短期の介護休暇の取得のためには、休暇の取得目的が以下のいずれかの理由に当てはまる必要があります。
- 要介護状態にある対象者の介護のため
- 対象者の通院等の付き添い、入退院寺や施設への送迎のため
- 対象者が介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行のため
具体的には、 要支援・要介護認定の申請やケアマネージャー訪問調査への同席なども、短期の介護休暇の取得要件として含まれます。
申請者は「要介護者の状態等申出書」の提出が必要
短期の介護休暇の申請者は、所属している課の課長に対して、「要介護者の状態等申出書」を提出する必要があります。
ただし、緊急かつやむを得ない事情がある場合は、事後に「申出書」を提出することができます。
要介護者の状態等申出書の記載内容
要介護者の状態等申出書には次のことを記入する必要があります。
- 要介護者全員の氏名
- 職員と要介護者の続柄
- 職員との同居・別居の別
- 介護が必要となった時期
- 要介護者の状態
特に、「要介護者の状態」は具体的に記入する必要があります。
介護休暇を取得する必要がない、と判断されれば却下されることもあるからです。
(短期の介護休暇は、有給休暇などの労働者の権利と異なり、あくまで役所に対して承認を請うものです。)
「職員本人が短期の介護休暇を取得しなくてはいけないやむをない状況である」ということを客観的に書くのが望ましいです。
良い例
リハビリテーションセンターとかかりつけの〇〇病院(住所:△△△)へそれぞれ週1回通う必要があります。
現在、配偶者、母、私の3人で暮らしており、配偶者は正社員として仕事をしており、自宅近隣に頼れる親族がいないため介護休暇を申請したい。
被介護者が一人で病院にいけないので、病院に送迎する必要があるので介護休暇を申請したい。
【注意】介護休暇の承認期間内に、短期の介護休暇の取得はできない
原則として、介護休暇と短期の介護休暇は併用して取得できません。
ただし、介護休暇で承認されている利用形態以外の日と時間帯で短期の介護休暇を利用できます。
短期の介護休暇でよくある質問
子供が交通事故に遭い救急搬送された。入院期間がどのくらいになるのか現時点ではわからないが、このような状況で「短期の介護休暇」を取得できるか?
現時点で短期の介護休暇を取得できません。
短期の介護休暇は2週間以上にわたって日常生活を営むことに支障がある親族がいることが条件ですが、現時点で入院期間が不明だからです。
そのため、子供の世話をするには「有給休暇」などを取得する必要があります。
ただし、結果として介護や世話を行う期間が2週間以上になった場合は、休暇が承認されるので、遡って「年次有給休暇」を取り消し、「短期の介護休暇」を申請することは可能です。
日常的に介護が必要な実父と同居している。普段は妻が実父の面倒を見ているが、要介護認定を受けるためケアマネージャーの訪問調査が行われる。妻は調査に同席するが実子である私も「短期の介護休暇」を取得しそれに同席することは可能か。
短期の介護休暇を取得可能です。
ケアマネージャーによる訪問調査は、対象者が介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行にあたるからです。
職員自らが介護や手続き等に直接携わる場合、他にそれに関わる人がいたとしても短期の介護休暇を取得できます。
【まとめ】短期の介護休暇の取得には周囲の理解を得られるように日頃から心がけを大切に!
短期の介護休暇を取得しようと考えている方は、日頃から誠実な態度で職務に望んで、短期の介護休暇取得時にバックアップしてもらえる体制を整えるのがおすすめです。
介護のために、自分が担当している職務を上司に配慮してもらったり、同僚にカバーしてもらうケースが多いからです。
そうすることで、その後介護休暇を取得することになった場合も、周囲の理解を得やすく、職場復帰もスムーズになります。
ご覧いただきありがとうございました。