ザ・市役所の代名詞ともいえる市民課(住民課)の仕事
市役所で働いている公務員といえば第一に思い浮かぶのがこの「市民課(住民課)」です。
いいかえると役所の顔ともいえる職場です。
だいたいの役所では入り口を入ると、すぐ目に着くところに窓口があるので最も多くの市民に見られている職場であるともいえます。
今回はそんな役所の顔である市民課の具体的なお仕事と市役所ないのリアルについてご紹介します。
市役所の市民課(住民課)の職務内容
市民課のお仕事は大きく分けて以下の通りです。
- 戸籍係:戸籍の管理や審査
- 市民係:印鑑登録や住民票の管理
- マイナンバー係:マイナンバーの管理
- 窓口係:窓口の接客対応や証明書の発行など
新人公務員は上記のうちいずれかの係に配属され、その係のお仕事を担うことになります。
いずれの業務も事務所りや接客対応が基本となりますが、係によって取り扱うものが「戸籍」だったり「マイナンバー」だったりと異なります。
より細かい市民課のお仕事を知りたい方にはこちらの本がオススメです。です。
【注意点】小さい役所では一つの係が市民課全ての業務を担うこともある
人口規模の小さな役所は1つの係で全ての業務を行う自治体もあります。
人口が少ないため市民課の仕事を細分化する必要性がないからです。
一つの係で全ての業務を覚える必要があるため、大規模な役所と比較すると一人当たりの負担は少し大きくなります。
ただし、人口が少ない町であれば来庁者の数もそこまで多くないので、市民課の全ての仕事をしなくてはいけないからといって忙しいとは限りません。
大きい市役所でも市民課(住民課)の出先機関は全ての仕事を覚える必要あり!、、、だけどかなり暇
大きい市役所でも市民課(住民課)の出先機関は全ての仕事を覚える必要があります。
出先機関とは、市民が気軽に役所の手続きを行えるよう市内に設置されている事務所です。(たいていは「〇〇事務所」という名前です。)
たしかに、出先機関は配属される人が少なく、その少ない職員たちだけで全ての住民窓口サービを提供する必要があるからです。
「窓口業務を全て覚えなくちゃいけないなんて、ちょっと大変だな〜」とおもう方もいるかもしれませんが、実は出先機関はめっちゃ楽です。笑
その理由はシンプルに利用者の数が圧倒的に少ないからです。
閑散期であれば、1日働いてお客さんが10名しかこないなんてこともザラにあります。
たしかに、出先機関は配属される人が少ないため市民課で担当する窓口業務を全て覚える必要があります。
ですが、それを差し引いても仕事の負担が少なくため非常に楽に働くことができる実はかなり恵まれた職場です。
個人情報を漏らしたらクビもありうる職場
市役所の市民課は、デリケートな個人情報をデリケートな情報を扱う職場です。
市役所の公務員は、その気になれば日本中の住民の氏名・住所・生年月日を調べられるほど強大な権限が与えられています。
そのため情報漏洩に対しては、法律によって厳しい厳罰が科せられます。
住民課の仕事で知り得た個人情報を悪用して、懲戒処分(要するにクビ)となる事件が全国で多発しています。
市民課の和気あいあいな雰囲気とは裏腹に、そこで仕事をする公務員には情報を漏洩しない倫理観と注意力が求められる職場です。
市民課(住民課)の勤務体系
市役所の市民課(住民課)の勤務体系のリアルな内情について解説します。
市民課(住民課)の勤務体系は、住民サービスの利便性向上のため変則的な勤務時間が多いです。
その反面、残業などが少なく比較的仕事の負担の軽い職場です。
市民課の繁忙期は3月〜4月頃に月20時間程度
市民課の繁忙期は3月〜4月です。
学校の卒業・入学や転勤があるからです。
ただし、繁忙期といっても多くても月に20時間程度の残業であるため、市役所内の職場と比べるとだいぶ少ないです。
また、戸籍係として働く同期の話によると7月11日も繁忙期だそうです。
7月11日が七夕であるため、この日に入籍すると縁起が良いとされるため、毎年この日だけはいつもより遅くまで残業します。
休日出勤が月に1回程度ある
市民課は月に1回程度休日出勤があります。
平日に役所の手続きができない住民のために休日に開庁する役所が多いからです。
当番制で、だいたい月に1回くらいの頻度で休日に出勤します。
休日出勤をした場合、同じ週のどこかで振替休日を取得するのが原則です。
つまり、休日出勤した分が残業代として支給されることはない、ということです。
夜間延長窓口の仕事が月に1~2回程度ある
市民課は月に1~2回程度、当番制で夜間窓口業務があります。
平日の日中に役所に来れない住民のためのサービスとして存在します。
多くの役所では夜の8時くらいまで窓口を開けており、夜間窓口当番の公務員は夜の8時まで勤務することになります。
夜間延長窓口に従事した場合、残業代が支給されることが多いです。
市民課(住民課)の職場の雰囲気
市民課の職場の雰囲気を実際に見聞きした内容をもとに解説します。
女性職員の割合が多い
市民課は女性職員の割合が多いです。(私の市役所では市民課の60%以上が女性職員です。)
そのため、女性職員とある程度うまくやっていく能力が求められます。
住民課は比較的残業時間が少なめの部署であるため、子育てをしている既婚女性などが多く存在するからです。
特に、女性のベテラン職員はいわゆる「お局様」が係長よりも力を持っていることが多いです。
異動で配属された1〜2年目の係長よりも、知識・経験、職場内の人間関係を有しており、係長クラスでも頭が上がらないなんてことも割とあります。
純粋な仕事能力以外に愛想の良さというのも結構求められる職場という印象です。
市民課の雰囲気は和気あいあい
市民課の雰囲気は和気あいあいとしていることが多いです。
市民課は残業時間も少なく、住民対応の接客業務がメインとなるため、職場の雰囲気が悪くなる要因が少ないからです。
(残業時間が多く、事務処理が多い部署ほど、職員同士が衝突してギスギスしがちな傾向にあります)
もちろん、人間関係によるので全ての役所の市民課が和気あいあいとしているとは限りません。
しかし、私の周囲の役所の話を聞いてみても、どこの役所の市民課(住民課)もそこそこ和やかな雰囲気の職場が多いです。
もっと市民課(住民課)の仕事を知るのにおすすめの本
住民課の仕事をざっくりと紹介しましたが、市民課の仕事はもっと奥深いです。
特に、次に該当する人は一度読んでおくと、仕事の失敗を避けたり、窓口対応のトラブルを避けるのに役立ちます!
- 市民課(住民課)に配属された公務員
- 市区町村の役所公務員に内定して暇な内定者
- 役所のフロアマネージャーとして委託業者で働く人
そこで、私が市役所の市民課(住民課)の仕事を知るのに最もおすすめだと思う本がこちらです。
市民課(住民課)のリアルな仕事内容が全て網羅されている
この本は市民課(住民課)のリアルな仕事内容が全て網羅されています。
というのも、この本は現職で公務員として働いている方々(大田区や船橋市の職員)が書いているからです。
公務員として役所の実務を担当している担当者目線で書かれているため、住民課の仕事の最新情報や細かい部分もかなりリアルに描写されています。
都内市役所で働いている私にとって知らなかった仕事も多くあり、参考になる部分も多かったです。
実際に市民課で働いている公務員も参考書として活用できる
この本は、実際に市民課で働いている公務員も参考書として活用できると思います。
市民課の仕事をわかりやすく書いているため、市民課で働き始めたばかりの公務員の入門書としておすすめです。
「自分の担当している業務が他のどんな仕事や機関と関係しているんだろう?」
といった疑問点を学べます。
実務を学ぶ前に、全体像を知っていると理解がしやすくなるので、業務の参考書として使用できます。
【実は、、、】内定者は市民課(住民課)に配属される可能性が高い
内定者は市民課(住民課)に配属される可能性が高いです。
役所によっては、新人や若手の職員は現場経験を積ませるためほぼ全員が市民課などの住民対応系の部署へ配属される、というところもあります。
また、市民課はどこの役所でも課の定員が多く、新卒の公務員にとっても配属される可能性が高い部署です
実際に私が市役所に入庁した際、住民課に配属された新人の数は税務課と並んで最も多かったです。
実際に自分が市民課に配属されるかはおいておいても、市役所の「顔」となる部署がどんな仕事をしているか全体像を掴んでおくと、仕事を進める上で役立ちます。
市民課の仕事を知っておくと他の全ての住民サービス系の部署で役立つ
市民課の仕事を知っておくと他の全ての住民サービス系の部署で役立ちます。
市民課の仕事は市役所ないの他の全ての住民サービス系に大きく関係してくるからです。
例えば、市民課の仕事は税務課に影響を与えます。
市役所の税務課は1月1日に市内に住んでいる住民に税金を課しますが、この判断のためには住民票の情報を用います。
また、亡くなった方の税金のお支払いをお願いするために、戸籍を調査して相続人に税金の請求を行います。
私が税務課で働いた時、市民課の仕事内容がわからずに苦労したこともあるので、是非事前に学んでおくことをおすすめします。
他にも以下の部署で市民課の仕事は影響してきます。
- 税務課
- 保険医療課
- 介護保険課
- 子育て支援課
- 保育園・幼稚園課
これらの住民サービス系の部署を全て合わせれば、市役所の新人公務員が配属される可能性は40%を超えます。
【まとめ】住民課の仕事は役所の基本がたくさん詰まっている!
市民課(住民課)は市役所の顔ともいえる部署です。
市役所の中でどこにでも通用する接客スキルや知識を身につけるのにうってつけの部署なので、市役所人生の中で一度は経験したい部署です。
公務員を目指している方、これから公務員として働く方、現在市民課で働いている方の参考になれば幸いです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。