公務員の組合休暇とは?
公務員の組合休暇とは、職員が労働組合の業務や活動を行うため、勤務しないことが相当であると認められる場合に与えられる特別休暇の一種です。
組合員として、組合活動のための仕事を休むような人が適用される休暇制度です。
(通常の公務員が取得することはほとんどない休暇です)
一般的には組合の役員クラスにならないと、仕事を休んでまで組合活動に参加することはありません。
普通の労働組合に加入している公務員は勤務時間外に作業を行うことが多いです。
組合休暇は全ての公務員組織にあるわけではない
組合休暇の制定は実は法律的な義務は存在しません。
あくまで組合休暇の制定に関しては、あくまで組織が労働組合との話し合いで決定されます。
実際に組合休暇は、日本の全ての政令指定都市と都道府県庁で一切設けられていません。
一部の市区町村の役所のみに存在している休暇です。
公務員の組合休暇の概要
組合休暇の取得日数
暦年(毎年1月~12月)で、日または時間を単位として30日以内で取得できます。
(7時間45分をもって1日とカウントします。)
組合休暇取得の条件
以下の2つのケースにおいて、組合休暇の取得が認められています。
- ①労働組合として組織が認めている団体で活動を行う場合
- ②労働組合として組織が認めている団体が属する上位の組織の活動に従事する場合
①のケースは、「◯◯市労働組合」といった各自治体に存在する労働組合を指します。
②のケースでは、「◯◯市労働組合」の上位組織である「全日本自治団体労働組合」(通称、自治労)などが該当します。
これらの組織の労働組合活動をする際に組合休暇を取得できます
組合休暇中の給料
- 給料:組合休暇の取得時間に応じて減額されます。
- 期末手当(ボーナスの半分相当):減額されません。
- 勤勉手当(ボーナスの半分相当):組合休暇の取得時間に応じて減額されます。
原則として、組合休暇を取得した時間に応じて給料が減額されます。
地方公務員法において「職員は、条例で 定める場合を除き、給与を受けながら、職員団体の ためその業務を行ない、又は活動してはならない。」と定められているからです。
給料を支給してしまうと、組織が給料を人質にとって組合活動を邪魔する恐れがあるからです。
これは不当労働行為として禁止されています。
ヤミ専従問題
公務員の組合休暇は昔大きな問題となったことがあります。
いわゆる「ヤミ専従問題」と呼ばれるものです。
どんなことをしていたかざっくりいうと、
「組合活動してくるから!」と言って職場を勝手に抜け出して、給料をもらいながら山登りして遊んだりしてたそうです。
なぜそのようなことが可能かというと、「書面の手続きや承認が一切不要で口頭で組合休暇が取れる」という条例を定めていた自治体もあったからです。
地方公務員法では、給与や勤務時間など勤務条件に関する「適法な交渉」は、勤務時間中においても行うことができると定められていますが、
この法律を拡大解釈して悪用した労働組合員が組合休暇を不正に取得していたのがヤミ専従問題です。
組合休暇取得のよくある質問
労働組合活動大会に傍聴者として参加した場合、組合休暇の取得が認められるか?
認められません。
組合休暇取得のためには労働組合活動大会に構成員として参加する必要があります。
また、大会への代理出席も認められません。
組合活動であれば全ての活動が組合休暇の取得対象となるか?
組織が正式に承認している活動でなければ取得対象となりません。
組合活動にかこつけて不正な休暇を取得するのを防ぐためです。
庁舎外に勤務する職員が市役所で行われる組合活動に参加する場合、往復に要する時間は組合休暇として認められる
往復に要する時間も組合休暇として認められます。
組合活動のための移動時間が認められなければ組合活動を妨げる恐れがあるからです。
1回あたりの限度時間を超えた場合も往復にかかった時間は組合休暇として申請できます。
【まとめ】組合活動に参加する場合は組合休暇以外の保証も存在する
組合休暇は無給の休暇です。
当然、たくさん取得すればその分給料が減少することになります。
しかし、組合活動に参加する人は給料とは別に、労働組合から「行動費」という名目で給料の補償を受けられます。
この「行動費」は、労働組合に加入している公務員から毎月徴収されていますが、
公務員の労働組合加入率は非常に高く、組合もしっかりと組織されていることが多いので、行動費もしっかりと受け取れます。
労働組合員として活動に専念する場合は、組合休暇を積極的に利用しましょう。