今回は国家公務員の住居手当について解説します。
国家公務員の住居手当は、「一般職の職員の給与に関する法律」という国の法律にもとづいて支給額などが定められています。
この住居手当は、実は令和2年4月1日より新しい支給額に改定されることが決まっています。
国家公務員の住居手当について
国家公務員の住居手当について
住居手当は、職員本人か配偶者が賃貸住宅を借りている場合に支給される手当です。
従来の国家公務員住居手当
家賃の額 (※100円未満の端数切捨て) | 住居手当支給額 |
12000円以下 | 0円 |
12100円以上23000円以下 | 11000円 |
23100円以上55000円以下 | (家賃手当の金額 − 23000円)×1/2 + 11000円 |
55100円以上 | 27000円 |
国家公務員の従来の住居手当は、家賃の月額が12000円〜55000円の人にたいして、それぞれ11000円〜27000円の範囲で支給されていました。
しかし来年度の令和2年4月1日以降から家賃手当の額が以下のように改定されます。
令和2年4月1日以降の国家公務員の住居手当
家賃の額 (※100円未満の端数切捨て) | 住居手当支給額 (※人事院勧告をもとに推定) |
16000円以下 | 0円 |
16100円以上25000円以下 | 12000円 |
25100円以上59000円以下 | (家賃手当の金額 − 25000円)×1/2 + 12000円 |
59100円以上 | 28000円 |
大きな変更点は以下の2点です。
- 16000円以下の家賃の国家公務員へ住居手当が一切支給されなくなった。
- 家賃手当の上限が27000円から28000円に上がった。
国家公務員の住居手当の新・旧比較
家賃の額 (※100円未満の端数切捨て) | 旧・住居手当支給額 | 新・住居手当支給額 (※人事院勧告をもとに推定) | 増減額 |
12000円以下 | 0円 | 0円 | 0円 |
12000円以上16000円未満 | 11000 | 0円 | −11000円 |
16100円以上23000円以下 | 11000円 | 12000円 | -1000円 |
23100円以上25000円以下 | 10050円〜12000円 | 12000円 | −950円 〜 0円 |
25100円以上55000円以下 | 12050円〜27000円 | 12050円〜27000円 | 0円 |
55100円以上59000円以下 | 27000円 | 26050円〜28000円 | −950円 〜 + 1000円 |
59100円以上 | 27000円 | 28000円 | +1000円 |
このようになり、一定金額以下の家賃手当が削減され、一定金額以上の人の家賃手当が増額されます。
(※現時点で家賃手当の計算式は公表されていないため推定の式となります)
このような住居手当の変更によって起こるのが次の現象です。
国家公務員の住居手当の改定で生じること
国家公務員の住居手当の改定で生じること
- 独身公務員・地方在住国家公務員の負担増加
- 首都圏勤務・本省庁勤務・結婚世帯の国家公務員の負担軽減
1.独身公務員・地方在住国家公務員の負担増加
1Rや1Kなどの狭い部屋でも十分に生活できる独身の国家公務員や、家賃相場の安い地方で勤務している国家公務員の負担が増加します。
一人暮らしの家であれば本当に都心部を除けば、家賃が59000円に届かない家も多く存在しています。
また、地方であれば2人暮らし用の賃貸住宅でも家賃が月額59000円に到達しない物件も割と存在します。
一番悲惨なのが、独身で地方に住んでいる国家公務員です。
この層は家賃の高い賃貸に住んでいるわけではないので、確実に住居手当は減少します。
さらに、地方在勤の国家公務員は地域手当の加算もありません。
そのため、独身・地方在住国家公務員は経済的にかなり経済的に厳しい立場に追い込まれるでしょう。
2.首都圏勤務・本省庁勤務・結婚世帯の国家公務員の負担軽減
一方で、首都圏勤務・本省庁勤務・結婚世帯の国家公務員は負担が軽減されます。
東京都や大阪府などの首都圏の賃貸物件は価格相場が高いため、家賃が5.9万円を超えることはザラにあります。
特に、霞ヶ関がある東京都千代田区の近辺に住もうものなら、確実に5.9万円は超えることでしょう。
また、結婚世帯の国家公務員も賃貸物件に住む場合5.9万円を超えることは多いため、実質的な負担が軽減されることとなります。
住居手当を多くもらえる国家公務員になるには?
住居手当を多くもらえる国家公務員になるには?
住居手当を多くもらえる国家公務員になるためには、国が期待している国家公務員の姿に近づくことが最も近道です。
今回の住居手当の改定から、国は公務員に対して次のことを求めていることが伺えます。
- 結婚して子育てをして欲しい
- 本省庁勤務の忙しい公務員を厚遇して頑張ってもらいたい
1.結婚して子育てをして欲しい
かねてから少子高齢化が叫ばれているように、国は生産年齢人口である子供を増加させることを公務員に期待しています。
子供が増えることで、税収の増加や経済の活性化など国にとってあらゆる面でメリットを得ることができます。
そのため、結婚して子育てする世帯の住宅費を少しでも軽減しようとしう意図を汲み取ることができます。
2.本省庁勤務の忙しい公務員を厚遇して頑張ってもらいたい
本省庁勤務の忙しい霞ヶ関などに勤めている公務員を厚遇して頑張ってもらいたい、という意図も読み取れます。
元々こういった制度を霞ヶ関の本章長の人たちが決めているという側面もあるのですが、
やはり国の中枢機関で働いている人たちを手厚い待遇にした方が将来的にも国にとってメリットが大きいという判断でしょう。
そもそも、正直なところ都心に住む場合、家賃補助は2.7万円2.8万円に増加したところでまだまだ到底足りていません。
これは私も都心部に住んでいるからわかることなのですが、立地のいい家であれば家賃が10万円近くになることはザラにあります。
個人的にはむしろこれまでの家賃手当の額が少なすぎたと思います。
ですが、月に1000円の増額であれば年間で12000円になります。
金額にしてみれば若干ではありますが、特に薄給の若手の国家公務員で都心に住む予定の人にとっては嬉しいニュースですね!
【まとめ】国家公務員は結婚・子育てをして、一生懸命働きましょう
住居手当に限らず、国が公務員に期待することとして、
- 結婚して子育てをすること
- 仕事に意欲的に取り組んで国を支える仕事をすること
といった事項が挙げられます。
結婚・子育てに関しては、税制改正や子育て支援の改正により、年々子育て世帯にとって有利な制度に改められています。
また、公務員は年々成果主義の風潮が強まっており、ボーナスについても勤務評定をより強く反映するような動きが高まってきています。
つまり、仕事に一生懸命取り組んで、首都圏にある本省庁で一生懸命働く公務員(=住居手当もボーナスも多くもらえる公務員)にとって追い風です。
結婚して子育てをして仕事に打ち込む公務員という昔ながらの働き者を求めていることが伺えます。
今後この風潮はますます強くなっていくでしょう。
そのために結婚して子育てをし、仕事に一生懸命取り組む公務員を目指すことで経済的に豊かになることができます。