公務員の単身赴任手当とは?
単身赴任手当とは公署を異にする異動等に伴い転居し、やむを得ない事情により配偶者と別居し、単身で生活することを常況とする職員等に支給される手当です。
要するに単身赴任手当の趣旨は、二重生活をおくることによる経済的負担を軽減すること等を目的とするものです。
水道光熱費や携帯電話の基本料金も、一緒に住んでいればお得なのに、別々に住んでいると基本料金を二重払いしなくてはいけなくなり、経済的な負担が増えます。
また、配偶者と別居することによりは宮社が住んでいる家に帰るたびにも交通費がかってしまします。
これらの負担を軽減するために設けられたのが単身赴任手当です。
単身赴任手当は職員と配偶者の住居の距離が離れているほど高くなる
単身赴任手当は「職員と配偶者がどのくらい離れたところに住んでいるか?」という点がポイントです。
つまり、単身赴任手当は職員と配偶者の住居の距離が離れているほど高くなります。
60km〜2500kmの範囲で、3万円〜10万円の単身赴任手当が支給されます。
単身赴任手当の距離と金額の一覧
距離 | 支給額 |
60km以上100km未満 | 3万円 |
100km以上300km未満 | 3.8万円 |
300km以上500km未満 | 4.6万円 |
500km以上700km未満 | 5.4万円 |
700km以上900km未満 | 6.2万円 |
900km以上1100km未満 | 7万円 |
1100km以上1300未満 | 7.6万円 |
1300km以上1500未満 | 8.2万円 |
1500km以上2000未満 | 8.8万円 |
2000km以上2500未満 | 9.4万円 |
2500km以上 | 10万円 |
単身赴任手当の支給条件
ただし、単身赴任手当の支給には条件があります。
- 配偶者か子供がいること
- 配偶者の住居から勤務先までの距離が60km以上であること
- 単身で生活している
- 配偶者が単身赴任についていけない「やむを得ない事情」があること
配偶者か子供がいること
まず前提条件として、配偶者か子供がいなくては単身赴任手当は支給されません。
当たり前ですが、独り身の人のことを「単身赴任」とは呼ばないですよね。
元々独り身なので、生活費が二重にかかることはないので、当然単身赴任手当も支給されません。
また、配偶者がいなくても子供が満18歳未満で、職員と別居している場合は単身赴任手当が支給されます。
配偶者の住居から勤務先までの距離が60km以上
配偶者が住んでいる住居から職場までの距離が60km以上であることが条件です。
裏を返せば、60km以下は単身赴任する必要がないよね!ということを表しています。
通勤時間に換算すると、片道で概ね1時間30分くらいまでの距離では単身赴任手当が支給されないことになります。
単身で生活している
「単身赴任手当」という名前の通り、単身で生活していること条件となります。
つまり、他の親族などと同居している場合は単身赴任に該当しません。
誰かと同居している場合、生活費を折半できるため経済的な負担が軽くなるため支給されません。
ただし、義務教育終了(満15歳未満)までの子供は同居している親族にカウントされず、単身赴任手当を受給できます。
配偶者が単身赴任についていけない「やむを得ない事情」があること
やむを得ない事情とは、ざっくりいうと仕事・通学・介護・通院・住んでる家の管理 のいずれかの理由で単身赴任に同伴できないことを指します。
- 配偶者が引き続き仕事をしている
- 配偶者が親族の介護のために住居を離れられないこと
- 配偶者が学校に通っている、もしくは学校に通う子供と同居している
- 配偶者、もしくは子供が特定の医療機関で治療を受けている
裏を返せば、やむを得ない事情がなければ一緒に単身赴任についていってね!ということを意味しています。
つまり、「転勤について行くのが面倒だから引っ越したくない!」とか、
「配偶者と夫婦仲が悪いから転勤について行きたくない!」という理由では配偶者手当は支給されません。
本心では、転勤について行きたくない場合でも何らかのやむを得ない事情を見つける必要があります。
配偶者が引き続き仕事をしている
配偶者の仕事の関係で単身赴任についていけない場合は単身赴任手当が支給されます。
つまり、共働きでも単身赴任手当が受給できるということです。
単身赴任する職員の負担を軽減することを目的として創設されているので、配偶者の勤務状況は関係ありません。
配偶者が親族の介護のために住居を離れられないこと
親族の介護が必要で、配偶者が単身赴任についていけない場合も単身赴任手当が支給されます。
必ずしも介護する親族と同居していなくても、別居の親族をメインで介護していれば単身赴任手当は認められます。
単身赴任手当は距離が遠すぎるとむしろ赤字になる
単身赴任手当は実質的に、配偶者の住んでいる家に帰るための帰省費用として使われることがほとんどだと思います。
特徴として、配偶者が住んでいる家と遠すぎれば遠すぎるほど支給される金額が割に合わなくなってきます。
霞ヶ関から茨城県土浦市くらいまで離れないと単身赴任手当は支給されない
国家公務員の場合、支給される距離の下限は60kmです
これは、霞ヶ関から茨城県の土浦市まではなれてやっと60kmくらいです。
このくらいの距離であれば、特急券を使っても大体往復で2000円〜3000円程度で帰ることができます。
なので、月に4回毎週末配偶者のいる自宅に帰ったとしても、
2000円〜3000円✖️4回=8000円〜12000円
で帰省できます。
帰省してもなおお金が余る計算になります。
一方で、東京から札幌くらいまで離れてやっと東京から札幌くらいまで離れてやっと800kmくらいです。
(飛行機を使用する場合は200kmプラスして計算されるので、約1000kmとして、月に単身赴任手当は7万円支給されます。 )
現在はLCCなどを使用すれば、片道で1万円程度で東京まで帰ることができますが、仮に毎週末帰ると
20000円×4回=80000円
となり、毎週末帰ったら赤字になる金額です。
距離的なものを勘案しても月に1〜2回程度が限界かもしれません。
単身赴任手当には税金がかかります
残念ながら単身赴任手当には税金がかかります。
むしろ、税金がかからない手当は「通勤手当」くらいのもので他の手当は基本的に全て税金がかかります。
単身赴任手当には、20%程度の税金と社会保険料が課せられるので、
3万円の単身赴任手当の実質的な手取りは、2.4万円程度になります。
【まとめ】単身赴任手当は金額だけで見たらそこまで割に合わない
単身赴任手当は純粋な金額だけで見たらそこまで割に合うものではありません。
配偶者と別居することによる負担や定期的に帰省するための費用や時間や手間を考えるとそこまで割に合うような手当ではありません
ですが、一方で出世する国家公務員にとって全国転勤は避けられないものです。
単身赴任手当で経済的に儲けるというよりも、出世のための我慢料くらいに考えるのが適切だと思います。
ご覧いただきありがとうございました。