育児短時間勤務ってどんな制度なの?
育児短時間勤務は実際どのように活用されているの?
こういった疑問にお答えします。
子育てをする公務員は「育児短時間勤務」を利用できます!
働くことと子育てを両立させることはなかなか大変だと思います。
今回は仕事と子育ての両立に役立つ「育児短時間勤務」について解説します。
育児短時間勤務とは?
育児短時間勤務とは、子供が小学校に入るまでの間、勤務時間を変更することができる制度です。
取得要件
小学校に入学する前のこどもを育てる職員であれば誰でも取得可能です
もちろん男性も取得可能です。
ただし、取得希望の1ヶ月前までに申請を行わなくてはいけません。
育児短時間勤務は勤務時間自体を変更するため、勤怠管理や給与計算の上で事前準備が必要となります。
そのために1ヶ月の猶予期間を設けています。
取得できる期間
子供が小学校に入学するまでの間に1ヶ月以上1年以下の期間で育児短時間勤務を取得できます。
ただし、子供が小学校に入学するまでの間であれば育児短時間勤務の取得期間を延長できます。
つまり、理論上は子供が小学校に入るまでずっと育児短時間勤務を利用できます
ただし、一度育児短時間勤務を終了した場合、1年以内に再度取得はできません。
勤務形態
育児短時間勤務は、次の①〜④の内、いずれかの勤務形態を選択して働くこととなります。
- 3時間55分×5日(週19時間35分)
- 4時間55分×5日(週24時間35分)
- 7時間45分×3日(週23時間35分)
- 7時間45分×2日+3時間55分×1日(週19時間25分)
現在の制度ではこれ以外の勤務時間で働くことが認められていない組織が多いです。
勤務時間の設定
育児短時間勤務は、通常の勤務時間内(8時30分~17時15分の間)であれば、勤務の開始時間を15分単位で自由に選択できます。
また、1日の間に勤務時間を分割することも可能です。
1日の勤務時間が3時間55分勤務のケースを考えてみます。
もし朝早く働きたい場合には、8時30分〜12時25分を勤務時間とし、午後の時間を育児に充てることができます。
もし午後から働きたい場合には、13時15分〜17時10分を勤務時間とし、午前の時間を育児に充てることができます。
また、お昼に子供の面倒を見なくてはいけない場合には、勤務時間を9:30〜11:30と14:00〜15:55の2つに分割することが可能です。
休憩時間
申請する勤務時間に12:00〜13:00を含む場合は、原則として勤務時間に休憩時間を含むことになります。
ただし、勤務時間が短い場合は12:00〜13:00を勤務時間とすることができるケースもあります(組織によって異なります)
仮に、1日3時間55分勤務するケースで、10:00に始業する場合には、
10:00~13:55を勤務時間に取ることはできません。
12:00〜13:00が休憩時間になり、10:00~14:55の間働く必要があります。
給料はどうなるの?
育児短時間勤務を取得している職員は最大で50%給料が減額されます。
給料が減額される割合は、育児短時間勤務で働いている1週間あたりの労働時間を、正規の1週間の勤務時間である38.75時間で割った値となります。
例えば、 ①3時間55分×5日(週19時間35分)の勤務形態で働く場合、
減額率は、
19.6(時間)÷38.75時間=0.5となります。
つまり、減額率は50%です。
月給が20万円の職員であれば月給は約10万円程度まで減少してしまいます。
手当はどうなるの?
手当の種類によって、満額受け取れるものと受け取れない手当があります。
全額受け取れる手当
- 扶養手当
- 住居手当
- 通勤手当
- 超過勤務手当
- 単身赴任手当
- 寒冷地手当
これらの手当は、フルタイムで勤務している職員と同様に満額受け取ることができます。
勤務時間によって減額される手当
- 地域手当
- 管理職手当
これらの手当は給料の計算式と同様、勤務時間が短縮される割合に応じて減額されます。
ボーナスは満額もらえなくなります。
育児短時間勤務を取得している場合、ボーナスを満額受け取れなくなります。
勤務形態にもよりますが、育児短時間勤務を取得している場合、ボーナスが最大で約8分の5にまで減少します。
例えば、大学卒業で育児短時間勤務を取得する年代の公務員は12月のボーナスを額面で50万円程度もらえているところ、育児短時間勤務を取得しているとボーナスは最大で30万円程に減少してしまいます。
有給休暇は取得できるの?
有給休暇は勤務形態に応じて付与されます。
労働時間が短いほど1年間に付与される有給は少なくなり、労働時間が長いほど1年間に付与される有給は多くなります。
勤務形態によって、以下の通り有給休暇が付与されます。
- 3時間55分×5日(週19時間35分)
⇛1日あたり3時間55分の有給が年20日付与されます(年間78時間の有給) - 4時間55分×5日(週24時間35分)
⇛1日あたり4時間55分の有給が年20日付与されます(年間98時間の有給) - 7時間45分×3日(週23時間35分)
⇛1日あたり7時間45年の有給が年12日付与されます(年間93時間の有給) - 7時間45分×2日+3時間55分×1日(週19時間25分)
⇛1日6時間30分の有給が年12日付与されます(年間78時間の有給)
育児短時間勤務取得の注意点
育児短時間勤務は部分休業と併用できません。
育児短時間勤務を取得している場合、部分休業を取得できません。
どちらも勤務時間を短縮するのを目的としており、同じような効果が重複してしまうのを防ぐためです。
部分休業と比較して、育児短時間勤務のほうが短縮できる勤務時間が多くなっています。
ただし、育児時間(育児短時間勤務とは別の制度です)については取得可能です。
育児時間と部分休業については以下で詳しく解説しています。
育児短時間勤務より部分休業を取得する職員が多い印象です。
育児短時間勤務と部分休業は併用できない制度ですが、部分休業を選択する職員が多い印象です。
育児短時間勤務は、部分休業に比べて短縮される勤務時間が大きく、その分給料の減額が大きいためです。
部分休業であれば、1日最大2時間程度の短縮なので、給料の減額がそこまで大きくありません。
また、育児短時間勤務は4種類の勤務形態の打ちいずれかの勤務形態しか選べません。
部分休業であれば、育児短時間勤務よりも柔軟に勤務時間を選択できるという理由も存在します。
そのため、わたしの周囲ではどちらかというと部分休業を取得しているケースが多いように思います。
ただし、子育ての事情に応じてよりメリットの大きい制度を利用するのがおすすめです。
まとめ
育児短時間勤務は、公務員が子育てしながら働けるよう作られた制度です。
働きつつも。子育ての事情に合わせて勤務時間を短縮できるため、経済面と子育て面を両立できる制度です。
ただし、給料やボーナスの減額があります。
また、部分休業と併用できない点にも注意してください。