公務員の人事評価とは?
人事評価制度は、能力・実績に基づく人事管理を進めて行く上での基礎となる重要なツールであるとともに、人材育成の意義を有するものでもあります
大きく分けて以下の2つの制度があります
- 能力評価
- 業績評価
能力評価とは
- 職務遂行で発揮した能力を評価します職務遂行で発揮した能力を評価します
- 10月1日~9月30日を一区切りとして、毎年1回行われます。
業績評価とは
- 職務遂行によってあげた業績を評価します。
- 10月1日〜3月31日と4月1日〜9月30日を一区切りとして、年に2回行われます。
能力評価と業績評価の違い
能力評価と業績評価は制度の趣旨が抽象的で、内容の違いがピンときません。
理解しやすいようにざっくりいうと以下の通りです。
- 能力評価→過程を重視
- 業績評価→結果を重視
つまり、能力評価は成果よりも努力の過程や意欲を重視する評価項目で、業績評価は一定期間における結果を重視する項目と考えればいいです。
能力評価と業績評価は昇給とボーナスに大きく影響する
能力評価と業績評価の得点によって昇給とボーナスに大きく影響します。
結果的に、同じ公務員でも年収が大きく変わることがあります。
能力評価の基準表
評価区分 | 評価 | 詳細 |
S | 特に優秀 | 求められる行動が全て確実にとられており、当該職位として特に優秀な能力発揮状況である。 |
A | 通常より優秀 | 求められる行動が十分にとられており、当該職位として優秀な能力発揮状況 である。 |
B | 通常 | 求められる行動がおおむねとられており、当該職位として求められる能力が おおむね発揮されている状況である。(通常) |
C | 通常より物足りない | 求められる行動がとられないことがやや多く、当該職位として十分な能力発 揮状況とはいえない。 |
D | はるかに及ばない | 求められる行動がほとんどとられておらず、当該職位に必要な能力発揮状況でない。 |
業績評価の基準表
評価区分 | 評価 | 詳細 |
S | 特に優秀 | 今期当該ポストに求められた水準をはるかに上回る役割を果たした。 |
A | 通常より優秀 | 今期当該ポストに求められた以上の役割を果たした。 |
B | 通常 | 今期当該ポストに求められた役割をおおむね果たした。(通常) |
C | 通常より物足りない | 今期当該ポストに求められた水準を下回る役割しか果たしていなかった。 |
D | はるかに及ばない | 今期当該ポストに求められた役割をほとんど果たしていなかった。 |
業績評価と能力評価は上記の基準をもとに決定します。
一見、A~Eにバランスよく分布しているように見えますが、実際は95%以上の人たちが「B」以上の評価をもらいます。
多少、「人より多少仕事ができない」という人でも確実にB以上は取れます。
よほどの問題児でない限り「C」以下の評価をもらうことは通常あり得ません。
例えば、不祥事を働いて懲戒処分を受けた人などは「C」より下の評価をつけられることがあります。
人事評価の昇給への影響
上記の能力評価と業績評価は、毎年1月1日に行われる「昇給」に影響を与えます。
能力評価と業績評価の評価が良いほど昇級額が大きくなります。
昇級額の決定方法
昇級額の決定は以下の手順で行います。
- 能力評価・業績評価に基づいて総合順位をつける
- 総合順位の良い人から順番に、A~Eの昇給区分に振り分けていく
手順1.能力評価・業績評価に基づいて総合順位をつける
直近1回の能力評価と、直近2回の業績評価のそれぞれの成績に基づいて、総合順位を決定します。
上図のように、能力評価・業績評価を総合的に勘案して総合順位を決定します。
手順2.総合順位の良い人から順番に、A~Eの昇給区分に振り分けていく
手順1で決定した総合順位に基づいて、総合成績の良い人から順に、A→B→C→D→Eの各昇給区分に割り振っていきます
(職責ごとにA~Eの成績評価の定員が決まっています。)
昇給区分 | 昇給号俸数 | 管理職層(本省室長級以上) | 中間層(本省課長補佐・係長級) | 初任層(係員級) |
A | 8号俸以上 | 10% | 5% | 5%以内 |
B | 6号俸 | Aと合わせて20% | 30% | 20% |
C | 4号俸(管理職は3号俸) | 70% | 75% | 75% |
D | 2号俸 | |||
E | 1号俸 |
ここでもやはり95%以上の公務員が最低でもC以上の評価をもらえる仕組みになっています。
公務員は年功序列の風土が強く、外資系企業のように成績によって大きな差をつけることはありません。
人事評価の勤勉手当(ボーナス)への影響
公務員のボーナスは、「期末手当」と「勤勉手当」の2つで構成されています。
業績評価はこのうちの「勤勉手当」に大きな影響を与えます。
勤勉手当(ボーナス)の決定方法
勤勉手当(ボーナス)は以下の手順で決定されます。
業績評価の基準表にもとづいて、S~Dの業績評価を決定する 業績評価の基準表にもとづいて、S~Dの業績評価を決定する
先述した業績評価の基準表にもとづいて、S~Dの業績評価を決定します。
業績評価の上位のものから順に4つの成績区分をつける
業績評価の上位のものから順に、次の4つの成績区分をつけます。
- 特に優秀
- 優秀
- 良好(標準)
- 良好でない
それぞれの区分に応じた期末手当が支給されます。
やはり横並びを重んじる公務員は勤勉手当についても、成績によってそこまで大きな差はつきません。
【まとめ】公務員は成果主義の風潮が年々強くなっている!
公務員は成果主義の風潮が年々強くなっています。
理由としては、以下の2つが挙げられます。
- 少子高齢化などにより全員を横並びにできるほどの財源がなくなりつつある
- 成果主義の風潮が強くなりつつある民間企業の賃金体系に合わせているため
昔のように、「公務員だからみんな横並びで十分賃金がもらえる」という風潮は徐々になくなりつつあります。
「え〜、せっかく公務員になろうと思ってたのにうまみがなくなっちゃう〜」
とおもう方はも一度立ち止まってよく考えてみましょう。
成果主義の風潮が強まっているのは公務員に限った話ではありません。
民間企業は公務員以上に成果主義の風潮が強まっており、40代の社員が大規模なリストラにあったりしています。
そんな中で、公務員は現状40代のリストラは全くと言っていいほど起こっていません。
成果主義の風潮が強まりつつある世の中でも、やはり公務員の身分保証はかなり強いです。
ただし、公務員は昔ほど「横並び感」はなくなってきていることを理解しましょう。