不祥事を起こした公務員はその後どうなるんだろう?
公務員になってから不祥事を起こさないためにどうしたらいいだろう?
こういった疑問にお答えします。
不祥事を起こした公務員の罰則には4種類ある
公務員が不祥事を行うと「懲戒処分」を下されます。
この処分については、主に4段階があります
4種類の懲戒処分
- 免職:職員の意に反してその職を失わせる処分を指します。
- 停職:一定期間、職務に従事させない処分を指します。停職の期間は1日以上6月以下です。
- 減給:職員に対する制裁として一定期間、職員の給与の一定割合を減額して支給する処分を指します。減給の期間は1日以上6月以下で、給料の20パーセント以内と定められています。
- 戒告(譴責:けんせき):職員の非違行為の責任を確認し、その将来を戒める処分を指します。
不祥事に対する処分は、社会的な影響力や不祥事を起こした理由に応じて総合的に判断されます。
不祥事に対してどのような処分を下すかは条例などによって定められています。
ただし、「どの犯罪だから、どの処分」と一律に機会的に決まっているのではなく、不祥事の実態に応じてどのくらいの処分を下すかを条例などで定めています。
したがって、同じような事故内容だとしても処分が異なります。
例えば、
同じ「車の運転での事故」の場合、でも
⇛相手方の過失によるやむを得ない事故:戒告処分
⇛飲酒運転による職員側の過失による事故:停職処分
となり、同じ不祥事でも処分の重さが大きく異なってきます。
不祥事の解説と具体例
もっとも処分の内容が厳しい「懲戒免職処分」
みなさんがニュースで聞き慣れているのがこの「懲戒免職」だと思います。
要するに「クビ」ということです。
私の職場でも1、2回しか聞いたことがありません。
全国区のニュースになるレベルの不祥事です。
私の職場で聞いた不祥事
あまり詳細に語ることができませんが、市役所の個人情報を盗んで私的に悪用したというものです。
当時は全国区のニュースになりますし、市の職員が全員知っている事件でもあります。
端的に言うと、「刑事事件で有罪の実刑判決が下るレベル」だと思ってください。
通常、このようなレベルの不祥事をすれば、公務員どころか民間企業でもクビになるでしょう。
実はもっとも処分される件数が多い「停職処分」
わたしの市役所でもっともおおかった処分がこの「停職処分」です。
内容としては、飲酒運転で停職が一番多いです。
「事故によって飲酒運転が発覚し、逮捕」
私の市役所でも、酒気帯び運転で逮捕されるケースが有りました。
物損事故を起こして、警察の取り調べを受け、飲酒していることが発覚して逮捕された事件がありました。
しかも、事故を起こした原因が当時流行していた「ポケモンgo」をやりながら運転していたら、後方不注意で物損事故を起こしてしまったようです。
この逮捕された職員が50代で
しばらくの間市役所では「いい年してポケモンgoで逮捕されるって笑」
と噂されていました。
「副業禁止を破って停職処分 」
公務員は「地方公務員法」で定められている副業禁止規定の違反で「停職処分」となった職員もいます。
その職員が自宅近くのファミレスでアルバイトしていたようで、アルバイトをしていることを人事にばれないようにはどうしたらいいか、ということを同じ市役所の税務課に相談していました。
「公益通報」に則って人事に通報し、副業していることが発覚しました。
定年間近の50代職員で、あと数ヶ月で定年退職にも関わらず、「停職処分」によって退職するまでずっと停職処分を受けていました。
せっかく副業で稼いでも、停職されている間は給料が一切でないので、せっかくアルバイトを行ってもすべて無駄になってしまいます。
係長級以上は「停職処分」と併せて「降任処分」も課されることが多い。
この降任処分は停職処分と並列で課されることが多いです。
係長級以上の職員が停職以上の懲戒処分を受ければ、ほぼ確実に降任処分がついて回ります。
やはり管理する側として、他の職員に示しがつかないから降任してるのだと思います。
もらえる給料が少なくなる「減給処分」
その名の通り、給料がカットされる懲戒処分です。
法律上、減給処分は最大5分の1と規定されていますが、
わたしの市の場合、減給処分を受ける人の殆どが10分の1の減給にとどまっています。
減給処分を受けた実例を聞いたことはありませんが、調べる限り過失があるが悪意がないケースがほとんどのようです
管理職が管理監督責任を問われるケースがほとんど
「懲戒処分」を受けた人が属する部署の部長が、管理監督責任を問われて減給処分になるケースがあります。
実は注意だけでは済まない「戒告処分」
戒告処分というと、注意を受けるだけで職務身分上なにもペナルティがないように見えますが、
実際はもらえるはずの休暇がもらえなくなったり、ボーナスを10%カットされたりします。
また、給料の定期昇給が1段階抑制されることになり、将来的な収入が減少します。
職務上のやむを得ない車の運転事故で戒告処分
ゴミ収集所で働いている職員がゴミ収集のために車を運転しており、信号無視をしてきた対向車を避けるための緊急回避によって、接触事故を起こしたケースがあります。
このケースでは確かに職員側に事故を起こした過失はありますが、
過失の大部分の原因が相手方にあり、職員側に悪意がないため戒告処分で済んでいます。
不祥事を起こした公務員のその後
処分の内容そのものよりも、職場に居づらくなることのデメリットのほうが大きいです。
処分の重さによって、職場での扱いは異なります。
「減給処分」「戒告処分」ならその後の公務員人生への影響は少ない。
給料やボーナスが一部カットされますが、一時的なもので処分が終われば通常の職員と同様に働くことができます。
内部的に大きく公表されることはないので、職場で噂になることは少ないです。
「停職処分」はその後の公務員人生への影響は大きい。
停職期間中に給料が出なくなるのはもちろんですが、それよりも辛いのは 「周囲の目」だと思います。
「他の職員への戒め」と言う名目のもとに市役所の全職員が使用している共通システムに不祥事の内容を公開されます。
氏名は公表されませんが、「部名」までは公表されます。
部の名前まで公表されるので、その部署に勤めている人は知っています。
市役所は噂が広まるのが早いため、簡単に情報は漏れてしまいます。
その後追い打ちをかけるように「降格」の人事異動情報が公開されます。
「停職処分」では実名が公開されませんが、その後間もなく、不祥事を起こした職員の「降格」人事異動情報がシステムに掲示されます。
この人事異動情報に異動の理由は書いていませんが、通常降格処分を受ける職員なんていないので、
とわかってしまいます。
さらに、停職処分以上公務員の不祥事は基本的に新聞やニュースになるレベルです
職場で公表されていなくてもニュースでググれば実名が出てきてしまいます。
懲戒処分を受けても職場に留まる人は意外と多い!
公務員は転職しにくいという部分もあるかもしれません。
処分を受ける人が高齢の職員が多いという理由もあります。
今から転職するより後数年今の職場で耐えたほうがいい、と考える人も多いようです。
「懲戒免職」は街にいられなくなる
「免職」されているので当然職場にはいられません。
懲戒免職レベルの不祥事は全国紙のニュースで大々的に報道されているケースがほとんどなので、ニュースで顔も居住地も判明しています。
私が知っている懲戒免職を受けた職員は、釈放されると同時に地方の実家に帰ったようです。
不祥事を起こさないために気をつけるべきこと
自動車の運転の不祥事に気をつけるべきです。
公務員にとってもっとも身近な不祥事が「自動車の運転」だからです。
特に若い職員はドライブしたり、お酒を飲む機会が多いです。運転のリスクを考えて生活しましょう。
新人職員が「仮採用」期間に不祥事を起こすと内定取り消しもありうる
公務員は就職してから最初の半年間は「条件付き採用」とよばれる仮採用期間となっています。
この期間に不祥事を起こすと採用取り消しの可能性が高くなるので特に注意が必要です。
不祥事を起こしてしまったらどうするか?
真面目に働けば日の目を見ることもあります
わたしの市役所では一度処分を受けた人でも、その後昇格した事例はあります。
仮に懲戒処分を受けたとしても、懲戒免職を除いてそこで公務員人生が終わるわけではありません。
しっかりと処分を受け止め職務を全うしていればまたやり直すことが可能だと思いますし、そういう実例もたくさん見ています。
人の噂も75日
不祥事を起こしたとしても時間が経てばいずれ噂されなくなっていきます。
居づらさもいずれ解消されるようになります。
まとめ
不祥事と懲戒処分について説明しました。
公務員は身分保障が手厚くなされており、なにか過失を犯してしまっても、悪意を持っていなければ実害を被ることは殆どありません。
悪意のない過失についてはほとんどが「減給処分」程度が上限でそれ以上になることは少ないです。
不祥事に注意して真面目な公務員生活を送っていただければ幸いです。
ご覧頂きありがとうございました。