どんな公務員にはクレーム対応がつきものです
公務員である以上クレームから避けて通ることはできません。
特に市区町村の役所であれば、おそらく95%くらいの部署で住民の方のクレームはあります。
しかも、市区町村の役所であればジョブローテーションが基本なので、公務員人生を送る中では100%クレーム対応をすることになります。
要するに地方公務員であるなら、クレームは絶対に避けては通れない仕事です。
クレーム対応にはケーススタディを知っていることが何よりも武器になる
クレーム対応のケーススタディとは、
「お客さんが〇〇という行動」をしてきたら、「私は△△の対応をする」という対応例をあらかじめ考えておくことです。
ケーススタディが重要なのは、なにも準備しておかないと95%くらいの公務員が急なクレームに怯んだりテンパったりして、住民対応に失敗するからです。
(もちろん私も失敗しましたし、炎上したこともあります。かなり強烈な失敗だったので、当時は精神的にかなり消耗してました)
もちろんケーススタディを知っていれば必ずうまくいくというわけではないですが、
あなたの仕事で「どんなケースのクレームが想定できて」「どんな対応策が考えられるか?」ということを知っておくのは住民対応をする上で大きな武器になります。
これから公務員として働く、もしくは既に働いていてクレーム対応に悩む方に読んで欲しい本をご紹介します。
現役公務員がおすすめするクーレム対応本の紹介
役所窓口で1日200件を解決! 指導企業1000社のすごいコンサルタントが教えている クレーム対応 最強の話しかた
著者の山下由美さんは、元地方公務員として役所で30年以上勤め上げた方で役所のクレームに精通しています。
(現在はクレーム対応のコンサルタントをされています。)
真面目な性格の多い公務員だからこそ陥りやすい間違ったクレーム対応法の解説や、
筆者が役所の経験から学んだ知恵は、公務員の実務で役立つものばかりです。
この本は役所ならではのクレーム対応術というよりも、
どんな場面でも使える、クレームにうまく対処するため具体的なテクニック的な面を学ぶことができます。(話法や返事の仕方など)
特に本著で紹介されている「そだね法」(相手に「そだね(=そうだね)」と同意を得る話法)は現場で実際に業務に取り組んでいる私にとっても「確かに!」と共感できような技法でした。
(「そだね法」は相手の心を開くための話術として、ナンパのテクニック本などにも書いてある技術と非常によく似ています。)
これから公務員になる方や住民対応で苦しんでいる方にぜひ読んでいただきたい1冊です。
対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル 100業種・5000件を解決したプロが明かす23の技術
こちらの著者も大阪府警察官で15年以上勤務した元地方公務員の方です。
クレーマーの中には、暴力や実力行使を匂わせてくるハードクレーマーがおり、そういった悪質なハードクレーマへの対処法が盛り込まれています。
どんな役所にもハードクレーム対応の専門部署があるので、そういった部署に配属された方にはうってつけの本です。
また、現場に立つ人の視点だけでなく、管理者側からのクレーム対応の視点も豊富に盛り込まれています。
クレームに対して、組織体制や制度面で解決するアプローチを多く紹介しているため、
組織体制を決定できる権限を持った係長・管理職クラスの人間が読むと役立つ内容です。
SOS!公務員のためのやっかいなクレーム対応
この本も勤続10年程度の地方公務員が複数人の共著で書いた本です。
役所のクレームで実際によく遭遇するクレームネタとその対応法を書いてあります。
役所に入ってから何年かすれば身につくような、ある意味で基礎的な本ですが、公務員になったばかりの人が役所のクレームの対応を学ぶのにいい本だと思います。
これから公務員になる方や、公務員になって日の浅い方にとっては、
「接客でわからないことがあるなんて公務員失格だ」とか
「住民サービスのためにお客様のお話は全て受け止めなくてはいけない」
と、公務員に対してこういった漠然とした固定観念みたいなイメージを持っている方もいると思います。
この本は、良い意味でそういった公務員への思い込みを打ち砕いてくれる本です。
「知らない法制度があったら、知ったかぶりをせずに「わからない」と答える」
とか
「相手の話は傾聴しつつも、要求が堂々巡りするなら対応自体を打ち切る」
など、役所のリアルなルールを学ぶことができます。
(「役所内で有名なクレーマーの愚痴を職場で話すことで、「ストレス発散 」+ 「対応ノウハウの情報共有」なんていうのも役所のリアルなところですね。笑)
役所の細かいリアルな部分を解説してくれている本です。
【まとめ】ノウハウを本で学んで、実務を通して自分に合った方法を体得する
ここで紹介した本では、いずれも公務員としてクレームの実務経験のある人たちの本を集めました
それは、クレーム対応は実務を通して身につけた知恵でないとほとんど役立たないからです。
クレーム対応の実務経験がない人が書いた本はどうしても他人行儀になりがちでクレームの種類の分類はできても、「じゃあ、実務ではどうすればいいの?」という最も肝心な部分の視点が抜け落ちているものばかりだったからです。
(あったとしても「誠実な対応が重要です」とか「職務を通じて学んでくのがいいでしょう」という、なんとも抽象論を語るものが多かったです。)
反対に、民間企業で実務的なクレーム対応をする人の本は多くありましたが、
やはり公務員と民間企業は根本的な部分が違っており、活用できるノウハウが少ないと感じたからです。
(例えば、民間でクレーム経験がある人が書いた本は、「クレーマーをリピーターにする方法」が書いてありますが、公務員には当てはまりません。
役所は基本的に、何かに困っていて問題解決できていない人が何度も来る場所だからです。
何度もリピートするということは、問題が解決できていないことを意味します)
また、本で紹介しているクレーム対応の方法は個々人の性格によって、「合う」「合わない」という部分が出てくると思います。
本のノウハウを全てそのまま自分が活用できるとは限りません。
そのため、本でできる限り多くのクレーム対応の知識を学び、実務を通じて自分に合うものを選別する必要があります。
さらに、クレーム対応のためには、本だけでなく職場の先輩の知恵も借りましょう。
これまで何度も土壇場をくぐり抜けてきた職場の先人の知恵は本よりも有益なものが多いのも事実です。
もし職場のクレームに悩んでいる方がいたら、今回ご紹介した本をご覧いただくことで解決の糸口が掴めるかもしれません。
ここまでご覧頂きありがとうございました。