勤勉手当とは?
民間における賞与等のうち考課査定分に相当する手当として6月1日及び12月1日に在職する職員等に勤務成績に応じて支給される手当です
「期末手当」は、公務員のボーナスを構成する手当の一つで、「勤勉手当」と合わさることによって「ボーナス」になります。
【注意】勤勉手当は「算定基準日」に勤務していないと一切支給されない!
期末手当で注意したいのが、「勤勉手当の算定基準日」に勤務していないと一切支給されないという点です
(6月1日の基準日は6月のボーナス、12月1日の基準日は12月のボーナスにそれぞれ相当します)
つまり、算定基準日に以下のような休職や停職処分などによって出勤していない場合、期末手当は一切支給されません。
- 休職者(病気休職・刑事訴追休職・組合専従休職など)
- 派遣交流で出向している職員(民間企業派遣・大学院派遣など)
- 懲戒停職処分を受けている職員
- 基準日前1ヶ月以内に退職(死亡退職含む)している職員
勤勉手当の計算方法
{(俸給+専門スタッフ職調整手当)の月額+これらに対する地域手当等の月額 + 役職段階別加算額 + 管理職加算額}×(期間率)×(成績率)
基本給
基本給は、毎年人事院が指定する「俸給表」の号級に基づいて決定されます。
号級は、職種・経歴・勤続年数に応じて決定されます。
例えば、4年生大学新卒の国家一般職の公務員の場合、1級25号俸で182200円と決まっています。
詳しくは以下の記事で解説しています。
専門スタッフ職調整手当
専門スタッフ職調整手当は、専門スタッフ職についている管理職ポジションに人に支給される手当です。
最大で基本給の10%が支給されます。
(詳細は以下の記事で解説していますが、普通の公務員には適用されない手当なので気にしなくて大丈夫です)
扶養手当
扶養手当とは、収入の少ない親族を扶養する職員をサポートする目的で支給される手当を指します。
扶養する親族の種類によって、ひとりにつき6500円〜15000円の扶養手当が支給されます。
詳細は以下の記事で解説しています。
役職段階別加算額
役職段階別加算額とは、役職に応じて期末手当の支給割合を増やすための調整です。
役職段階別加算額は、以下の式で求められます。
((基本給+専門スタッフ職調整手当)の月額+これらに対する地域手当等の月
額)× 役職段階ごとの加算割合(5%~20%)
ポイントは、役職段階ごとの加算割合は係長クラス以上でないと0%となるため、係長未満の役職の公務員には一切加算されないという点です。
役職段階に応じて定められた加算割合表
役職 | 加算割合 |
室長(困難)以上 | 20% |
室長・課長補佐(困難) | 15% |
課長補佐・係長(困難) | 10% |
係長 | 5% |
※(困難):困難な業務に従事する場合の役職
例えば、霞ヶ関本省(地域手当:20%)に勤務する係長であれば
250000円(基本給)+ 0円(専門スタッフ職俸給表) + 50000円(= 250000円 × 地域手当 20%)× 5%(役職段階ごとの加算割合) = 15000円
この場合は、期末手当の計算に15000円が加えられます。
管理職加算額
管理職加算額は、管理職という役職に対して加算される金額です。
以下の計算式で求められます。
基本給 × 管理・監督の地位に応じて定められた加算割合(10%~25%)
区分 | 支給額 | 役職 | 支給割合 |
1種 | 130300円 | 課長(本府省)以上 | 25% |
2種 | 94000円 | 室長(本府省) | 15% |
3種 | 72700円 | 部長(都道府県単位機関) | 10% |
役職の高い人ほど加算割合が高くなります。
この手当の場合、都道府県単位機関の部長クラスにまでならないと適用されない手当なので、よほど偉い地位まで上り詰めないと適用されない加算分になります。
期間率
基準日以前6ヶ月以内の勤務期間に応じて0~100%の範囲で14段階の率を設定しています
勤務期間 | 割合 |
6ヶ月 | 100% |
5ヵ月15日以上6ヶ月未満 | 95% |
5ヶ月以上5ヶ月15日未満 | 90% |
4ヶ月15日以上5ヶ月未満 | 80% |
4ヶ月以上4ヶ月15日未満 | 70% |
3ヶ月15日以上4ヶ月未満 | 60% |
3ヶ月以上3ヶ月15日未満 | 50% |
2ヶ月15日以上3ヶ月未満 | 40% |
2ヶ月以上2ヶ月15日未満 | 30% |
1ヶ月15日以上2ヶ月未満 | 20% |
1ヶ月以上1ヶ月15日未満 | 15% |
15日以上1ヶ月未満 | 10% |
15日未満 | 5% |
0日 | 0% |
この期間率については、期末手当よりも在籍期間による支給割合の変動をより細かく設定しています。
勤勉手当は、在籍期間よりも実際の成果を重視する制度なので、在籍期間による減額の影響を少なくしています。
成績率
業務成績に応じて、支給割合が以下のように割り振られます。
成績区分 | 一般職員 | 特定管理職員(本府省課長等) | 指定職職員 | |||
6月期 | 12月期 | 6月期 | 12月期 | 6月期 | 12月期 | |
特に優秀 | 112.5%以上185%以下 | 117.5%以上195%以下 | 136.5%%以上225%以下 | 141.5%以上235%以下 | – | – |
優秀 | 101%以上112.5%以下 | 106%以上117.5%以下 | 122%以上136.5以下 | 127.5以上141.5% | 106%以上195% 事務次官は97.5% | 111%以上205% 事務次官は102.5% |
良好 | 89.5% | 94.5% | 109.5% | 114.5% | 92.5% | 97.5% |
良好でない | 89.5%未満 | 94.5%未満 | 109.5%未満 | 114.5%未満 | 92.5%未満 | 97.5%未満 |
勤勉手当の本質は「ボーナスの奪い合い」
勤勉手当の本質は「ボーナスの奪い合い」です。
勤勉手当は成績上位者は勤勉手当の支給額が大きくなりますが、その財源は成績下位者の勤勉手当です。
つまり、ボーナスをとおしてお金を奪い合ってると言い換えても過言ではありません。
勤勉手当の割合は年々上昇している
ボーナスに対する勤勉手当の割合は年々上昇しています。
公務員の給料は民間企業に合わせており、民間企業の成果主義が年々強まっているからです。
民間企業がボーナスの支給を成果に合わせる風潮が強まっています。
今後もこの傾向は続くことが予想されます。
役職が上がるほど勤勉手当の比率が上昇する
役職が上がるほど勤勉手当の比率が上昇します。
その一方で、期末手当の割合が減少します。
つまり、公務員だとしても役職が上がれば上がるほど成果がシビアに問われることを意味します。
出世を望む人にとっては、勤勉手当の割合が上がることは望ましいため、より適した制度設計となっています。
【まとめ】公務員の勤勉手当の支給割合は増加傾向にある
勤勉手当は、公務員の中でもめずらしく成果によって支給額が決まる手当です。
成績が最も良い人は、成績が最も良くない人の2倍の勤勉手当が支給されます。
今後、ボーナスに占める勤勉手当の金額は大きくなっていきます。
これから公務員になる人は、昔よりも成果が問われる制度に変わりつつあるということを覚えておくといいと思います。
ここまでご覧いただきありがとうございました。