国家公務員の初任給は民間企業の平均値を元に算出されますが、世間的には「公務員の給料は民間の平均より高い!」などといった批判もあります。
そこで実際に公務員の初任給は実際のところ具体的にいくらなのかをご紹介します。
まずは、国家公務員の初任給がどのように決定されるかをざっくり解説します。
(すぐに初任給を知りたい人は「学歴・試験区分・職種別、国家公務員の初任給一覧」をクリック)
国家公務員の初任給は「俸給表」と呼ばれる給与テーブルで決定される
国家公務員の初任給は、国の期間である人事院が定める「人事院規則九―八(初任給、昇格、昇給等の基準)」に基づいて決定されています。
ですが、国家公務員の規則なので、かたっ苦しい言葉でずらずら書かれていて正直かなりわかりにくいです。
そこでこの初任給の俸給表についてもう少し噛み砕いていきます。
国家公務員の初任給は「学歴」「試験区分」「職種」の3つで決まる
国家公務員の初任給は「学歴」「試験区分」「職種」の3つの基準に応じて決定されます。
学歴
国家公務員の初任給は学歴が高いほど高くなります。
ざっくりとした基準としては
- 最も初任給が高い’1位大学院・博士課程修了(6年制大学卒・博士課程修了)
- 次点で初任給が高い2位大学院・博士課程修了(4年制大学卒・博士課程修了)
- STEP3タイトル3ここにテキストここにテキストここにテキスト
- STEP4タイトル4ここにテキストここにテキストここにテキスト
- STEP5タイトル5ここにテキストここにテキストここにテキスト
[/tl] [tl label=” title=’3位’] 大学修士卒・6年制大学卒[/tl] [tl label=” title=’4位’]大学卒 [/tl] [tl label=” title=’5位’]高等専門学校卒・短大卒・専門学校卒[/tl] [tl label=” title=’6位’]高卒[/tl] [tl label=’最も初任給が低い’ title=’7位’]中卒[/tl] [/timeline]
という順番になっています。
単純に、学校に在籍している年数が長いほど初任給が高くなるというイメージで大丈夫です。
試験区分
国家公務員の採用試験には「総合職」「一般職」「専門職」の3つの区分があります。
総合職>専門職≧一般職
の順番で高くなります。
職種
一般行政職や税務職や医療職など、職種によって初任給の額が異なります。
専門性の高い職業ほど初任給が高くなる傾向にあります。
医者や看護師など専門性が高い職業の初任給は高い一方で、一般行政事務などの専門性がない職種の初任給は低いです。
「【2019年版】国家公務員の平均年収は686.3万円 !国家公務員の職種別平均年収ランキングと職種別の初任給ランキングを紹介!」の記事でも職種別の平均年収ランキングを詳しくご紹介しています。
学歴・試験区分・職種別、国家公務員の初任給一覧
※紹介する初任給には、地域手当や扶養手当などを含んでいません。
国家公務員・一般行政職の初任給
一般的な事務職などに従事する国家公務員の初任給です。
この記事で紹介している他のどの職種にも当てはまらない仕事が一般行政職に該当します。
総合職(キャリア)の初任給
- 大学院卒:21.3万円
- 大卒:19.5万円
いわゆる「キャリア官僚」と呼ばれる人たちの初任給です。
初任給は他の職種と比べてそこまで高くありませんが、昇級スピードは最も早い職種です。
一般職(こっぱん)の初任給
- 大卒:18.2万円
- 高卒:15.6万円
国家一般職(通称:こっぱん)の初任給です。
一般的な文系大学生が最も多く受験する試験区分です。
国家公務員・税務職の初任給
- 国税専門官(大卒):20.7万円
- 税務職員(高卒):18.28万円
いわゆる「税務署職員」と呼ばれる人たちの初任給です。
一般的に、大卒の人は「国税専門官採用試験」、高卒の人は「税務職採用試験」を受験します。
※ちなみに、国税専門官とよく似た「財務専門官」は一般行政職の給料テーブルに含まれます。
国家公務員・福祉職の初任給
「福祉職」に該当する職種
- 支援員・指導員・相談員:大卒・短大卒
- 保育士・児童生活支援員:短大卒
- 介護員:短大卒・高卒
それぞれの区分に存在する学歴の給与テーブルしか適用されません。
例えば、大卒の方が、介護員の試験を受けてたとしても初任給は「短大卒水準」からスタートします。
つまり、大卒の人が「介護員」の職種を受けるにはオーバースペックというわけです。
指導員・支援員・相談員の初任給
指導や支援を専門とする福祉職の初任給です。
指導員・支援員・相談員に該当する職種
- 生活支援員
- 職業指導員
- 就労支援員
- 心理判定員
- 精神保健福祉士
- 精神障害者社会復帰指導員
- 医療社会事業専門員
- 児童自立支援専門員
- 児童指導員
学歴ごとの初任給
- 大卒:18.8万円
- 短大卒:17.26万円
保育士・児童生活支援員の初任給
- 短大卒:17.26万円
介護員の初任給
- 短大卒:17.26万円
- 高卒:15.98万円
国家公務員・公安職の初任給
警察官などの「公共の安全と秩序」を維持することを目的とする職種の初任給です。
身近な交番にいるおまわりさんは地方公務員の所属です。
国家公務員の公安職は、基本的に法務省管轄の特殊な場所が多いです。
皇宮護警官・入国警備官の初任給
学歴ごとの初任給
- 大卒:21.14万円
- 高卒:17.34万円
東京都千代田区にある天皇の自宅近辺を警備するお仕事や、不法滞在する外国人を取り締まるお仕事の初任給です。
矯正心理専門職・法務教官の初任給
学歴ごとの初任給
- 矯正心理専門職(大卒):20.7万円
- 法務教官区分(大卒):20.7万円
海上保安官の初任給
- 海上保安大学校修了者:21.23万円
- 海上保安学校卒(2年制):18.13万円
- 海上保安学校卒(1年制):17.73万円
- 大卒:20.7万円
- 高卒:16.2万円
国家公務員・医療職の初任給
医師や看護師など、医療職として働く国家公務員の初任給です。
医師・歯科医師の初任給
- 医師・歯科医師(博士課程修了):33.41万円
- 医師・歯科医師:24.98万円
保健師・助産師の初任給
- 大卒:21.26万円
- 短大卒(3年制):20.07万円
- 短大卒(2年制):19.24万円
看護師資格のみを保有している人と比較して、若干初任給の額が高めに設定されています。
看護師の初任給
- 短大卒(3年制):20.07万円
- 短大卒(2年制):19.24万円
准看護師の初任給
- 准看護師養成所卒:16.53万円
国が指定している准看護師学校養成所を卒業した人の初任給です
薬剤師の初任給
- 薬剤師(6年制大学卒):21.5万円
- 薬剤師(大卒):18.84万円
栄養士・技師・療法士・整体師の初任給
いわゆる「コ・メディカル」と呼ばれる職種の初任給は一律で同額になっています。
「栄養士・技師・療法士・整体師」に該当する職種
- 栄養士
- 衛生検査技師
- 診療放射線技師
- 臨床検査技師
- 臨床工学技士
- 理学療法士
- 作業療法士
- 資格訓練士
- 言語聴覚士
- 診療エックス線技師
- 義肢装具士
- 歯科衛生士
- 歯科技工士
- あんまマッサージ師
- はり師
- きゅう師
- 柔道整体師
学歴ごとの初任給
- 大卒:18.4万円
- 短大卒(3年制):17.74万円
- 短大卒(2年制):16.64万円
国家公務員・海事職の初任給
海で働く国家公務員の初任給です。
主に、税関などで募集を行っています。
大型船舶・中型船舶の船員
- 高卒:21.42万円
- 中卒:15.42万円
小型船舶の船員
- 高卒:16.51万円
- 中卒:15万円
国家公務員・技能職の初任給
以下の技能職に該当する職種の場合、高卒・中卒の学歴に応じた初任給が支給されます。
技能職に該当する職種
- 守衛
- 警備員
- 用務員
- 自動車運転手
- 理容師・美容師
- 労務作業者(機械・電気・大工・印刷工などの工務位作業に従事する人)
学歴ごとの初任給
- 高卒:14.79万円
- 中卒:13.39万円
教育職の初任給
大学助教授の初任給
- 大学6年制卒、かつ大学院博士課程修了):30.54万円
- 博士課程修了:29.14万円
- 修士課程修了:24.32万円
- 大学卒:21.64万円
専修学校教員の初任給
専修学校とは、専門学校・看護格好・自動車学校などの専門知識を学ぶ学校を指します。
- 博士課程卒:29.1万円
- 修士課程修了:24.34万円
- 大卒:21.64万円
専修学校補助教員の初任給
- 博士課程卒:26.86万円
- 修士課程修了:23.78万円
- 大卒:21.64万円
- 短大卒(2年制):18.83万円
省庁大学校学生の初任給
省庁大学校とは、国各省庁が運営している学校です。
国家公務員の職業スキルの取得を目的としており、採用されてから一定期間、お給料をもらいながら学校で勉強できます。
高校を卒業後に進学する大学的な位置付けの学校が多く、初任給は高卒の水準です。
「省庁大学校の学生」に該当する職種
- 航空保安大学校学生(防衛省の管轄)
- 気象大学校学生(気象庁の管轄)
- 海上保安大学校学生(国土交通省の管轄)
- 海上保安学校学生(国土交通省の管轄)
- 高卒:15.06万円
※いずれの職種も高卒区分のみ
研究職の初任給
- 総合職(院卒):22.83万円
- 総合職(大卒):20.55万円
- 一般職(大卒):18.72万円
- 一般職(高卒):15.08万円
研究職の場合、大学院卒者でが国家総合職試験に突破して、研究職として採用されるケースがほとんどです。
(つまり、ほとんど全ての研究職国家公務員には「総合職(院卒):22.83万円」が適用されるということです)
大学卒の総合職や一般職が研究賞として新規採用されるケースは非常に稀です。
(ただし、大学卒の場合でも、他の職種から研究職へ配置転換されるケースはあります)
その他の専門職の初任給
上記に該当しない専門的な職種に従事する人の初任給です。
一般行政事務職よりも高めの給料が支給されます。
「その他の専門職」に該当する職種
- 労働基準監督官
- 保護観察官
- 外務省専門職員
- 財務専門官
- 大卒:19.96万円
※いずれの職種も大卒区分のみ
学歴・試験区分・職種別の国家公務員の初任給から判明したこと
試験区分よりも学歴の方が初任給に与える影響が大きい
学歴の方が試験区分よりも初任給に与える影響は大きくなります。
ただし、出世に関しては、学歴よりも試験区分が与える影響の方が大きくなります。
学歴が高くても初任給が高くなるとは限らない!
国家公務員の初任給は、職種ごとに適正な学歴区分を付与しており、高い学歴をそこまで必要としない職種には初任給が低くなる傾向にあります。
(例えば、警備員や自動車運転手などの技能職は、職務内容的に高い学歴を必要としないため「高卒」・「中卒」区分しか存在しません。)
そのため、例えば大学院の博士課程を卒業した人が技能職に就職したとしても、初任給は高卒水準程度しかもらえません。
まとめ
国家公務員の初任給は、
- より学歴が高く
- より難易度の高い試験
- より専門的な職種ほ
ほど高くなる傾向にあります。
また、学歴が最も初任給に与える影響が大きいことも判明しました。
国家公務員の平均年収をもっと知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ここまでご覧いただきありがとうございました。