生理休暇取得時の注意点はなんだろう?
こういった疑問にお応えします。
公務員は生理休暇という生理のための休暇が存在します。
生理休暇とは?
生理休暇とは、生理日において心身の不調をきたし、職務を行うのが困難な女性職員が取得できる特別休暇の一種です。
この休暇は労働基準法によって定められています。
使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。
労働基準法 第68条
この労働基準法を大枠として、国家公務員と地方公務員がそれぞれの組織ごとに規則を定めています。
国家公務員の生理休暇
国家公務員の場合、生理休暇は病気休暇の一種として扱われます。
つまり、厳密には国家公務員に「生理休暇」という休暇は存在していません。
あくまで病気休暇の3つの要件のうちの1つとして、生理休暇が存在しているだけです。
国家公務員の病気休暇の要件
1.生理が激しくて仕事に従事できないとき
2.仕事で怪我や病気になったとき
3.医者から仕事でドクターストップがかかったとき
人事院規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)
つまり、国家公務員の場合、生理は怪我や病気の一種の延長上にあるものという考え方をとっています。
【国家公務員の生理休暇】取得しても給料やボーナスは減額されない
国家公務員は生理休暇を取得しても給料やボーナスは減額されません。
病気休暇と全く同じ規定が適用されるからです。
ただし、生理休暇を含む病気休暇の取得日数が、1年間で30日を超えるとボーナスの一部が減額されるので注意しましょう。
病気休暇についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
地方公務員の生理休暇
地方公務員の生理休暇は、自治体によって内容が異なります。
自治体ごとに条例・規則で生理休暇を定めているからです。
全体的な傾向として地方公務員は、生理休暇を病気休暇ではなく、特別休暇として扱っているところが多いです。
特別休暇は、病気休暇と異なり給料やボーナスが一切減額されません。
あえて生理休暇を病気休暇から独立させて考えている分、国よちも地方の方が進んだ考え方をしていると言えますね。
今回は、東京都が定めている生理休暇制度を例にとって解説していきます。
【地方公務員】生理休暇の取得条件
生理休暇を取得するには、生理によって業務が著しく困難であることが要件となっています。
そのため、ただ単に生理日であるだけで取得できる休暇ではありません。
つまり、
といった取得はできないということですね。
【公務員】生理休暇を取得できる日数
生理休暇は、必要な日数を1日単位で取得できます。
つまり、生理休暇の取得日数に上限はありません。
ただし、生理休暇が有給扱いになるのは1回の生理につき2日間までです。
3日目以降は無給休暇扱いとなります。
【公務員】生理休暇による給料とボーナスへの影響
生理休暇は、1回の生理に付き、引き続く2日まで有給休暇扱いとなります。
引き続く2日を超える場合、超えた日数分は無給休暇扱いとなります。
ただし、生理休暇の取得によってボーナスの算定には影響を与えません。
生理休暇取得の注意点
生理休暇を取得するには係長と課長の決済を得た後、人事課への申請が必要
生理休暇は通常の休暇と同じように、課長クラスまで決裁を得ることが必要となっているからです。
上司が男性の場合、恥ずかしい思いをする可能性があります。
ただし、近年公務員はセクハラなどに非常に厳しいので、生理休暇について追求するようなケースは基本的にありません。
ぜひ安心して生理休暇を申請してください。
実際にどのくらいの職員が生理休暇を使用しているの?
生理休暇を取得している女性職員はそこまで多くありません。
私の市役所では全職員中で20人程度です。
もともと公務員は年休が20日付与されており、ほとんどの職員が20日の有給休暇を1年間で消費しきれません。
また、生理休暇の取得は通常の有給休暇よりも、申請するのに手間がかかります。
そのため、大抵の女性職員は生理などによる体調不良の場合でも、通常の有給休暇を使用します。
つまり、20日の有給休暇では足りないほど休みが必要な職員がこの休暇を使用することが多いです。
生理が非常に重くて有給が足りないケースや、単純に休みを使い切った人などの事情があげられます。
生理休暇を取得する人はたしかに少ないかもしれませんが、生理休暇を使用するのは職員の正当な権利です。
周囲の職員が生理休暇を使用していなくても、ご自身が必要であれば、無理せず堂々と生理休暇を取得していただきたいものですね。
生理休暇は1月に2回以上取得可能
生理休暇は1回の生理ごとに取得できる休暇制度だからです。
生理の周期は人によって異なります。
そのため、生理周期が1月以内の人は、生理休暇を1月に2回以上取得できます。
ただし、あまりにも生理休暇の申請の頻度が多いと場合、なんらかの事情を説明する必要が出てくるかもしれません。
生理休暇は時間単位では取得できません
生理休暇は日単位でしか取得できない制度だからです。
例えば、生理休暇を1時間のみ取得して残りの時間を勤務していたとしても、1日分の生理休暇を申請する必要があります。
生理休暇を少しでも申請するなら丸1日休んだほうがお得な制度ですね。
生理休暇を申請する際に証明書等の添付は必要なし
生理休暇の申請には裏付けとなる書類等の提出は必要ありません。
あくまで自己申告で取得可能です。
係長や課長が男性の場合、生理休暇を取得する理由を知られたくないと考える方も多いと思います。
生理休暇の取得の詳しい経緯や裏付けについては基本的に決裁の際に説明する必要はありません。
ただし、妊娠中で、生理でないことが明らかな場合や、スポーツやレジャー活動を行っていることが明らかな場合は生理休暇の取得を承認できません。(当たり前ですね。笑)
私は実務で生理休暇の取得を否認したことは一度もありません。
通常の休日を挟んで生理休暇を2日取得した場合、休み明けの日の生理休暇は無休扱いとなります。
例えば、金曜日に生理休暇を取得し、月曜日にも生理休暇を取る場合、月曜日の生理休暇は無給休暇となります。
有給の生理休暇は引き続く2日間しか取得できないからです。
これは土日を挟めば生理による体調不良も治っているだろうという考え方に基づくものです。
この場合、月曜日の休暇は通常の有給休暇を申請するのをおすすめします。
まとめ
生理休暇は、生理によって職務を行うことが困難な職員が取得できる休暇制度です。
1回の生理に付き、引き続く2日間まで有給休暇として取得できます。
取得している職員は少ないですが、生理に悩む女性にとっては非常に役立つ制度です。
本記事を参考にしていただけると幸いです。
ご覧頂きありがとうございました。