こういった疑問にお応えします。
結論からいえば、公務員試験に学歴は関係ありません。
その理由を説明します。
市役所公務員試験では学歴フィルターは存在しない
市役所の公務員試験では学歴フィルターは存在していません。
私は人事課で採用試験を行う側にたったことがあり、その経験から採用の仕組みを語っていこうと思います。
採用の手順から内定までのステップで学歴フィルターがどのように排除されているか見ていきましょう。
応募の段階で学歴フィルターはありません
応募の段階で学歴フィルターはありません。
公務員試験は基本的に年齢や国籍要件さえ満たしていればどんな方でも受験することができます。
民間企業のように「大学名」によって応募段階で足切りというものは存在しません。
筆記試験でも学歴フィルターはありません
「筆記試験」であれば筆記試験の点数で採点されます。
当然、筆記試験に大学名の記名は行いません。
また、面接試験でも最近の公務員試験では、面接に使用する履歴書は各自治体が用意した専用のものを使うことが多く、そのESに学歴を記入する欄はありません。
筆記試験の採点でも学歴の影響を排除している
択一試験は合格が一つに絞られており、人事課の職員が手作業で機械的に採点をしていきます。
論述問題の場合、私の市役所では課長級の職員が手分けして採点を行っています。
「受験生が回答した論文」にすべてに番号を振って番号で管理します。
これは「学歴」だけでなく「氏名」「性別」などの情報すらも推測できない状態で採点を依頼するためです。
そのため、採点官がどの受験生が高学歴かというのを知ることもできません。
よって、筆記試験に学歴が影響することもありません。
面接試験でも学歴フィルターはありません。
面接試験でも学歴フィルターはありません。
もっとも学歴が影響してきそうな面接でも、面接に学歴が影響しないように配慮しています。
学歴について触れないように「学歴を伏せた面接シート」を使用している。
公務員試験の面接では、専用のエントリーシートを使用します。
このエントリーシートには「学歴」を記載する欄はありません。
よって、面接官がエントリーシートから学歴を知ることはできなくなっています。
面接官・受験生ともに面接で学歴に関する話をしてはいけない
人事側から受験生側・面接官側両方に「面接で学歴に関する話題をしないでください」という注意喚起を行っています。
話題の関連でやむなく話題として出ることはあるが、面接官も学歴をもとに判断している素振りはありません。
採点方法も学歴を考慮していない
30分ほどの面接が終わった後、5分間のインターバルを挟んで面接官が採点を行います。
ぼくの職場では
面接での採点結果=合格順位
としていました。
そのためこの5分間の採点結果で合否を決定してしまうのです。
こんなに短時間で決まるので、「学歴」によって合格者枠を配分し、どの大学をどのくらい合格させるか、というような調整は一切行っていませんでした。
(というよりもそんな事する時間なんてありませんでした。)
採点した表は人事が回収・保管しその後採点のし直しができないようになっています。
回収した用紙をもとに点数を明確化し、順位付けします。この過程でお偉いさん方の査定は一切入りません。
学歴・学閥による順位の関連性はない
学歴・学閥による順位の関連性はない
学歴や学閥が順位に影響を与えることはありません。
よく「市役所で学閥が強ければ内定に有利!」なんて噂がありますが、
採用選考は人事課職員と管理職級のごく限られた人数で行われるため、市役所内に特定の大学卒業生が多くても採用選考には関係ありません。
また、採用選考の手順からいって面接官が「どの受験生がどの大学卒か?」ということを知ることができないため、特定の大学の卒業生を採用することが難しいです。
実際に、当時の人事課長(短大卒)と人事係長(大卒)と同じ大学の合格者は私の同期に一人もいませんでした。
内定者の学歴と順位
と心配な人のためにまずは私が入庁したときの同期の学歴と順位を公開してみたいと思います。
具体的にどんな学歴の人がいたのか、私が覚えている範囲で書いてみます 。
(ただし、地理的な問題で関東近辺の大学出身者が多いです。)
トップ5の学歴
- 1位 法政大学
- 2位 学習院大学・法政大学(同率)
- 4位 明治大学
- 5位 武蔵大学
- 6位 筑波大学
ワースト5の学歴
- ワースト1位 東洋大学
- ワースト2位 明治大学
- ワースト3位 大阪大学
- ワースト4位 立教大学
- ワースト5位 國學院大學
私が記憶してる限りの同期の入庁順位です。
このランキングを見れば一目瞭然ですが、入庁順位に学歴は一切関係ありません。
むしろトップ5くらいまでは学歴に比例しない順になっています。
逆にワースト5位には高偏差値の大阪大学が入っています。
蓋をあけてみれば「試験を受けた結果、合格した人がたまたまその学歴だった」だけに過ぎません。
その結果として、マーチといわれる大学の人でも早稲田大学とか大阪大学をぬいて試験成績トップ5で合格しています。
もし公務員試験を「学歴」だけで判断するのであれば、上記の中では「大阪大学」とか「早稲田大学」がトップ合格をしていなくてはいけません。
学歴の内訳
それでも学歴が気になる方のために、私が内定したときの同期が約100人ほどいたので内訳を書いてみます。
一般行政事務
- 明治大学9人
- 法政大学3人
- 中央大学4人
- 青山学院大学2人
- 早稲田大学2人
- 東洋大学4人
- 日本大学4人
- 帝京平成大学1人
- 大阪大学1人
- 立命館大学1人
- 武蔵大学1人
- 東京海洋大学1人
- 学習院大学2人
- 成蹊大学1人
- 筑波大学1人
- 創価大学2人
- 立教大学2人
- 成城大学1人
- 首都大学東京1人
- 國學院大學1人
- 高卒4人
保育士
- ほぼ全員短大卒7人 (学校名は不明)
福祉職
- 埼玉大学1人
- 東洋大学2人
土木職
- 芝浦工業大学4人
- 高卒1人
- 日本大学2人
建築職
- 明治大学1人
- 名古屋大学1人
- 高卒1人
- 工学院大学2人
- 専門卒1人
電気職
- 上智大学1人
- 芝浦工業大学1人
保健師
- 日本獣医生命医科大学1人
私が記憶してる限りの同期の学歴を書いてみました。
たしかにボリュームゾーンはだいたいマーチくらいかもしれません。
ですが、単純にマーチは私立大学で学生数も多いので、単純に人数が多いからそういった人たちが多く受かるという話でもありません。
また、私が働いていた市役所は東京都内なのでどうしても東京都近郊の大学生が多くなります。
人事が見ているのは学歴ではなくその人の熱意と能力
人事課で採点官を勤めていた課長や係長の話をきくと、
「学歴」よりも「この人と一緒に働きたいか」「この人はどのくらい熱意があるか」という点を真剣に議論していました。
「社会人」の目線として、価値のある人物かという点を本気で見ていたように思います。
同率合格でどちらを合格させるか悩むような人は話し合いできめられることがあると思いますが、ここでも学歴ではなく、面接試験などの内容をもとに協議していました。
社会人になれば学歴以上に仕事の出来が重視される
学歴コンプレックスを患っている大学生の方は多いと思いますが、それは一過性のものだと断言できます。
社会人になって時間が経てば、学歴よりもいかに仕事ができるかの方が重要だからです。
例えば、小学生の頃は走るのが速い人がモテて、中学生はワルい人がモテます。
同じように、就活時期はたまたま「学歴がいい」人がモテはやされるだけで、社会人になれば「仕事ができるか」という点が重視されます。
実際に社会人2年目にもなれば学歴がどうのこうのいう人は誰一人いません。
公務員試験は学歴を極力排除しているので、受験しないのは非常にもったいないと思います。
公務員試験は努力をすれば報われる試験だと思うので、学歴を理由に諦めずにぜひ受験してみてください。
それでも学歴が気になる人は「国」や「都道府県」よりも「市区町村の役所」がおすすめ!
私も就職した後知りましたが、
「公務員は組織が大きくなるほど学歴がインフレする傾向」にあるようです。
例えば、東京都庁は早稲田大学くらいがボリュームゾーンで、国家総合職は東大がボリュームゾーンです。
全体的に大きい組織ほど働いている人の学歴平均値は高いと感じます。
一方で、市区町村の役所など規模の小さい組織は、規模の大きい組織と比べて学歴の平均値は低いというのは実感します。
内定のために学歴が必要というわけではありませんが、学歴が気になる人は市役所をおすすめします!
まとめ
公務員試験と学歴のリアルを書いてみました。国家総合職はいざしらず、私が働いていた市役所では全く関係ありませんでした。
私が面接官として働いていたときも、「学歴」よりも「しっかりと話ができるか」や「気が利くか」 という基本的なコミュニケーション能力のほうがよっぽど重要な要素であると感じました。
「学歴」という肩書にとらわれず、ご自分の熱意や能力を高めて合格するために前向きに頑張ってください!
みなさんの合格を応援しています。
ご覧いただきありがとうございました。