公務員の有給休暇制度はどんな仕組みになっているのかな?
公務員は有給休暇をどのくらいとれるんだろう?
有給休暇を多くとるためにはどうしたらいいんだろう?
こういった疑問にお答えします。
公務員の年次有給休暇制度
公務員の有給制度の概要
通常年次有給休暇は年間で20日付与されます。
年度途中から採用される人は働き始める月によって付与日数が異なります。
例えば、4月から採用される1年目の職員は15日間の有給を付与されます。
有給休暇取得の理由は問われない
休暇の理由は問われません。
法律で定められているからです。
したがって、有給休暇申請をするために上司に休む理由を報告する必要はありません。
休暇の決済を得るときに休む理由を伝えたら「休む理由なんて必要ないよ」と注意されました。
学生時代、休む理由を先輩に承認されないと休めないブラックな部活に所属していた私にとって衝撃でした。笑
どのくらい有給休暇をとれるんだろう?
公務員の年間有給取得日数は約11日
>>公務員の働き方と就業動機(独立行政法人 労働政策研究・研修機構
こちら論文では、公務員と民間企業の有給休暇の平均取得日数を比べていますが、 公務員が大体11日前後で民間が9日前後となっており。
つまり民間企業と比較して公務員は有給休暇を取得しやすい職業といえます。
実態は部署によって大きく異なります。
統計上は平均11日の有給休暇を取得できている公務員ですが、実態は部署によって大きく異なります。
部署や担当している仕事の性質によって休みやすい人と休みにくい人に分かれてしまうからです。
では、具体的にどんな部署・仕事が休みを取りやすいか、取りにくいかについて解説します。
休みを取りやすい部署・仕事
出先の職場
「出先の職場」とは、本庁舎の外に部署のある組織を指します。
こうった職場は休みを取りやすいケースが多いです。
理由は仕事の絶対量が少ないからです。
具体的には、
- 地域の事務所(戸籍住民課の出先機関)
- 地域包括支援センター(高齢者支援課の出先機関)
が挙げられます。
地域包括支援センターに勤務していた同期のは、年間で有給を15日取得していました。
そもそも休んでもそんなにやることがないから15日くらいしか取らなかったけど、休もうと思えば20日も余裕で使えた。
仕事自体がそんなになくて仕事している感もあんまりない
窓口接客がメインの仕事
窓口業務がメインの仕事の部署も休みを取りやすいです。
窓口業務がメインの部署は、事務料がそこまで多くなく、窓口業務もローテーションで行っているため自分が窓口の当番に当たらなければ比較的休みを取りやすいからです。
具体的には、
- 戸籍住民課の係全般
が挙げられます。
住民記録係の同期は有給使用日数が20日でした。
つまり、1年間に付与される有給をすべて消化できたということです。
ただし、窓口業務がメインの部署でも、事務やシステムなどの裏方の仕事となると、事務仕事が多くなるので休みにくくなる可能性があります。
ですが、それでも比較的休みやすい部署ではあります。
「閑散期」が長い部署
仕事の閑散期、つまり仕事が暇な時期が長期に及ぶ部署だと休みは取りやすいです。
仕事の予定がほとんどなく、休みやすくなるからです。
具体的には、
- 税務課の課税係
- 選挙管理委員会事務局
が挙げられます
税務課課税係の後輩は、有給消化実績が20日です。
課税係は年度末年度始めが繁忙期ですが、夏から年末にかけて非常に暇です。
スノボが大好きな彼は12月に14連休を取得して北海道へスノボに出かけました。笑
ただし、閑散期が長い部署はその分繁忙期が忙しいことが多いです。
繁忙期にはほとんど休みを取れないと思ったほうがいいでしょう。
休みを取りにくい部署・仕事
官房系の部署
官房系の部署とは、企画課・人事課・財政課です。
これらの部署は仕事の絶対量が多いため、休みを取りにくいからです。
私は人事課で働いていますが、年間の有給取得は4日間でした。
たしか風邪とインフルエンザと帰省くらいにしか使ってなかったような記憶があります。笑
年末〜年度末にかけて、人事課は多くの職員が週6日出勤するのがふつうです。
そのくらい働かないと仕事が終わりきらないくらいの仕事量なので、当然休みは取りにくいです。
また、仕事に対して意識が高い人も多く、休みを多く取りにくい雰囲気もありました。
有給をとったのに職場に来てふつうに仕事している人とか結構いて最初は驚きました。笑
もちろん、官房系の部署だったとしても、担当している仕事によっては普通に休めている人もいましたが、絶対数はそこまで多くないです。
官房系の部署であれば休みを多く取れる可能性は低いでしょう。
毎月締切がある、締切が多い仕事
締切が多い仕事を担当している人は休みを取得しにくいです。
常に締切に追われており、休むチャンスがほとんどないことが多いです。
具体的には、
- 人事課の人事係
- 人事課の給与係
- 学校教育課の任用管理係
があげられます。
毎月の締切が決まっており、締日までにやらなくてはいけないことが多いです。
しかもその仕事の性質的に市役所内の各部署との連携が必要なことが多く、相手側の都合によって予定を左右されることも多いです。
結果として、休めることがほとんどなかったです。
外部との折衝やイベントの多い仕事
外部と調整したり折衝することが多い仕事をしていると有給を取得しにくいです。
外部との打ち合わせのために仕事のスケジュールが多ることが多く、ある程度相手の都合に合わせる必要があるため休みにくいからです。
具体例には、
- 防災課の防災係
があげられます。
防災課で働く同期のDくんは有給消化実績が5日でした。
防災係は、災害時の対策のために各町会の役員さんたちと話し合いを頻繁に行っています。
また、防災訓練のイベントを各地域の小学校で行うことになっており、毎週のように小学校で防災訓練を行います。
外部折衝やイベントが多いと相手の都合によって日程を左右されるため休みが取りにくい傾向にあります。
どうすれば有給休暇を多く取れるか?
仕事の計画をしっかりと立てて担当者間で情報共有する
仕事の計画を立て、担当者間で情報共有することが大切です。
仕事の計画をたてて自分が休める日を調整し、同じ職務の担当者に自分が不在の間に仕事のカバーを頼むことで休みやすくなるからです。
職場の予定表などに、仕事のスケジュールと有給取得の日にちを明記することで周囲に対しても休暇を取るということを意思表示できます。
特別な理由をつけて有給を取得する
有給を取得する際に、特別な理由を「建前」として伝えて置くことも非常に有効です。
やむを得ない事情がある場合、有給休暇の取得に心情的な理解を示してくれる人が多いからです。
建前は、「他人が踏み込みにくいプライベートなことを理由」とするのがいいと思います。
具体的には、
- 急に体調を崩した
- 子供が体調を崩した
- 持病のための通院
- 両親の介護の世話
といった理由が挙げられます。
ただしあからさまにバレるような建前をつかうと信用を失うことにも繋がりかねないので注意が必要です。
異動希望が通りやすく、有給取得しやすい部署へ異動希望を出す。
有給を取得しやすい環境の条件を満たしつつも、異動希望の実現可能性が高いからです。
異動希望が通りやすい部署の条件として、
- 定員が多い
- 仕事の内容的に人気がない
ことがあげられます。
具体的には、生活援護課や税務課の課税係などが当てはまります。
ただし、仕事内容的に「人気がない」のにはそれ相応の理由があることにも要注意です。
生活援護課はケースワーカーとして生活保護受給者の方と接するお仕事だったり、課税係は繁忙期は月100時間近くの残業をする月もあり、それなりにハードな側面もあります。
一方で、異動希望が通りにくいのが「出先の機関」です。
定数が少なく、仕事量が少ないことから非常に多くの職員が異動希望をするため競争率が高いです。
したがって、私は異動希望が通りやすく、有給取得しやすい部署へ異動希望を出すことをおすすめします。
まとめ
統計上、公務員は民間企業と比べて有給休暇取得日数が多いです。
ですが、実態は有給を取りやすい部署・取りにくい部署、仕事内容によっても千差万別です。
そんな環境の中でどうすれば有給を多く取れるかを解説しました。
有給取得の実現に向けて、本記事を役立てていただけると幸いです。
ご覧頂きありがとうございました。