公務員の高所作業手当とは?
公務員の高所作業手当とは、足場の不安定な高所で行う建設作業等に支給される手当です。
1日の勤務につき、200円〜
具体的に法律では、「地上から10m以上不安定な足場で監督、測量等の作業を行う人」が支給の対象となっています。
と思って調べてみたら、
どうやら「人間が落下して死亡する確率がほぼ100%になる高さがちょうど10mだから」のようです。
高い場所での作業は落下や転落によって、ほぼ100%死亡するというリスクに加えて、
というプレッシャーが常に付きまといます。
このような肉体的にも、精神的にもリスクの高い仕事をする公務員に対して支給されるのが高所作業手当です。
(ちなみに、20m以上の高さで作業する場合、高所手当の額がさらにアップします!)
高所作業手当の支給条件と支給額
高所作業手当は高所で作業する日ごとに支給されます。
(※ただし、1日の高所での勤務時間が4時間未満の場合、60%に減額されます)
また、1日あたりの支給額は作業する内容によって異なります。
国家公務員の作業手当の場合、法律によって
- どの官公庁の職員が
- なんの作業をしたときに
- いくらくらい支給されるのか
といったことが全て具体的に定められています。
今回は国家公務員の高所作業手当の内容をご紹介します。
支給金額と具体的な職務内容
①警察庁に所属する職員が空中線柱(電柱・アンテナを立てる柱)の地上10m以上の箇所で行う作業に従事したとき
②労働局(厚生労働省管轄)に所属する職員が次に掲げる作業に従事したとき
- クレーン車を使って地上から10m以上の地点で、建造物の設置検査を行ったとき
- 地上・水面から10メートル以上の足場の不安定な個所で行う高層建築物、ダム、橋りょうの工事現場または造船現場における監督
③沖縄総合事務局(内閣府)、農政局(農林水産省)、林野庁、地方整備局と北海道開発局(国土交通省)の職員が地上(水面上)10m以上の不安定な足場で建物の改修作業などを行ったとき
①警察庁に所属する職員が空中線柱(電柱・アンテナを立てる柱)の地上10m以上の箇所で行う作業に従事したとき
警察庁の職員は、無線機を電柱などの高所に取り付けるために、高い場所で作業するケースがあります。
例えば、災害時などは民間企業の電波局が機能を停止してしまっているため、無線設備を独自に所有している警察が代わりに通信設備をととのえることもあります。
電波の通信状態をよくするためには、柱のてっぺんや鉄塔の高い場所などに無線局(電波の送受信を行うための装置)を設置する必要があります。
その際、警察庁の職員が高い場所へ登って無線局の取り付けを行うため、高所手当が支給されます。
②労働局(厚生労働省管轄)に所属する職員が次に掲げる作業に従事したとき
いわゆる「労働基準監督署」に勤務する職員は、大規模な建造物が法令の基準どおりに安全に作られているかチェックするお仕事があります。
チェックの対象となる建造物は、数十メートルにも及ぶダムや橋などの大規模な建造物があるため、労働基準監督官はクレーン車に乗って高所で作業することも多いです。
そのため、高所手当が支給されています。
③沖縄総合事務局(内閣府)、農政局(農林水産省)、林野庁、地方整備局と北海道開発局(国土交通省)の職員が地上(水面上)10m以上の不安定な足場で建物の改修作業などを行ったとき
国道交通省地方整備局では、ダムや橋などの大規模な建造物の改修作業を行うことがあります。
大規模な建物なので当然高さ10m以上の場所で作業することも頻繁です。
また、農政局や林野庁のような自然と深く関わりを持つ部署では、
例えば、高い樹木の検査などを行う際に高所で作業することもあります。
そのため、これらの職務に対して高所手当が支給されています。
④沖縄総合事務局(内閣府)、文教施設企画部(文部科学省)、林野庁、官庁営繕部と地方整備局と北海道開発局(国土交通省)の職員が地上15m以上の足場の不安定な箇所で営繕工事の監督をしたとき
④沖縄総合事務局(内閣府)、文教施設企画部(文部科学省)、林野庁、官庁営繕部と地方整備局と北海道開発局(国土交通省)の職員が地上15m以上の足場の不安定な箇所で営繕工事の監督をしたとき
営繕作業とは、建物の営造と修繕作業を指します。
具体的には、官公庁の建物や各国公立の学校などを修繕するために、高所で作業監督をする職員が対象となっています。
④人事院が高所作業手当の支給に相当すると判断した場合
法令で定めていないが、高所作業手当を支給するのにふさわしいと人事院が判断する場合、支給できることを定めています。
その場合、作業内容に応じて高所作業手当支給額の額を人事院が決定します。
法律で想定していない例外的な仕事に対して柔軟に対応できるよう、人事院にある程度の裁量権を認めた法律となっています。
高所での作業時間が1日4時間未満の場合は支給額が60%になる
高所作業手当は、高所での作業時間が1日4時間未満の場合は支給額が60%になってしまいます。
高所で1日10時間作業している人と、1日1時間しか作業していない人の手当金額が同じでは不公平だからです。
例えば、警察庁の職員の高所作業手当は1日200円ですが、高所での作業時間が4時間未満の場合、
200円×60%=120円
となり、半分近く手当が減額されてしまいます。
高所作業手当を受給していると受け取れない特殊勤務手当
高所作業手当には、他にも似たような性質を持つ特殊勤務手当が存在します。
高所作業手当が支給される場合、ほかの一部の手当が支給されません。
具体的には次の手当が支給されなくなります。
- 爆発物取扱等作業手当
- 狭あい箇所内等検査作業手当(労働基準監督署の職員のみ)
- 犯則取締等手当(労働基準監督署の職員のみ)
ただし、上記の手当が高所作業手当の額を超える場合、高所作業手当の代わりにその手当が支給されます
具体例
- 高所作業手当:200円
- 狭あい箇所内等検査作業手当:320円
この場合は「狭あい箇所内等検査作業手当:320円」が支給されます
【まとめ】高所作業手当は危険な場所で働く公務員のサポートとして重要
高所作業手当は、地上から10メートル以上離れた高い場所での作業をする公務員のために存在する手当です。
高所での作業は心身の負担の大きいものですが、手当が存在することによって少しでも前向きに仕事に取り組めると思います。
基本的には、一部の技術職の公務員がほとんどメインの受給者となる手当で、大部分の公務員に支給されることはない手当ですが、
こういった危険な作業に対しても公務員はきめ細かい補償が存在することから、いかに公務員の手当てが充実しているかがわかると思います。
ここまでご覧いただきありがとうございました。