部分休業ってどんな制度?
部分休業のメリットと活用法は?
子育てに活用できる制度に「部分休業」があります。
部分休業とは?
部分休業とは、小学校入学前の子供を持つ職員が1日の勤務時間の一部を省略できる制度です。
つまり、保育園や幼稚園に通う年齢の子供を持つ職員のために、子育ての負担を軽減するよう定められた制度です。
地方公務員の育児休業等に関する法律の第19条で定められています。
部分休業の取得要件
小学校入学前の子供がいる職員です。
ただし、育児短時間勤務をしている職員を除きます。
育児短時間勤務は部分休業と同じように勤務時間を短縮する制度のため、併用できなくなっています。
部分休業と比べて、育児時間の方が短縮できる時間が多いです。
育児短時間勤務は以下で詳しく解説しています。
部分休業を取得できる期間
勤務時間の始めか終わりを30分単位で、最大で合計2時間短縮できます。
部分休業を使用する具体的な勤務時間を説明します。
通常、公務員の始業時間は8時30分で就業時間は17時15分が一般的です。
例えば、始業時間に2時間の部分休業を使用すると、 勤務時間は10時30分〜17時15分となります。(8時30分〜10時30分の勤務時間が短縮!)
就業時間に2時間の部分休業を使用すると、 勤務時間は8時30分〜15時15分となります。 (15時15分〜17時15分の勤務時間が短縮!)
勤務時間の最初と最後にそれぞれ1時間ずつの部分休業を使用すると、
勤務時間は、9時30分〜16時15分となります。 (8時30分〜9時30分と16時15分〜17時15分が短縮!)
保育園送迎など、子育てのリズムに合わせて柔軟に勤務時間を短縮できるのがメリットです。
ただし、「育児時間」(※育児短時間勤務とは異なります)を承認されている場合、2時間から承認されている時間を差し引いた時間が上限となります。
育児時間も部分休業と似た制度となっており、勤務時間を短縮する効果を持ちます。
部分休業と比べて、育児時間のほうが短縮できる勤務時間は短いですが、短縮されている時間も有給扱いとなります。
一方で、部分休業で短縮された勤務時間は無給扱いとなります。
育児時間については以下の記事で詳しく解説しています。
部分休業の給料
部分休業を取得した分の給料は支給されません。
部分休業によって短縮された勤務時間1時間ごとに月の給料が減額されます。
部分休業を最大限利用した場合、最大で月の給料が通常の75%程度まで減少します。
仮に、大学新卒の職員が部分休業を取得するケースを考えます。
大学新卒の1月の給料を計算すると、
通常の職員:1353円(時給単価)×7.75時間(1日の勤務時間)×21日(1月の勤務日)=220440円
となります。
一方で、部分休業を1日2時間取得した場合、
部分休業を取得した場合:1353円(時給単価)×5.75時間(1日の勤務時間)×21日(1月の勤務日)=163374円
つまり、勤務時間が通常の約75%程度に減少するため、給料も約75%になります。
部分休業取得によってボーナスも一部減額されます
ボーナスも部分休業を取得した時間に応じて減額されます。
ボーナスの計算には、「ボーナス算定期間中に勤務した期間」が関係するからです。
つまり、部分休業でボーナス算定期間に勤務しなかった期間があるとボーナスが減る仕組みとなっています。
仮に部分休業を最大限取得する場合、 通常の公務員の約80%のボーナスとなります。
部分休業を取得した場合のボーナスの計算方法
公務員のボーナスは期末手当と勤勉手当の2つで構成されています。
期末手当は、部分休業により勤務しなかった時間の2分の1が計算対象から除外されます。
一方で、勤勉手当は部分休業により勤務しなかった時間全てが計算から除外されます。
具体例をあげて考えてみましょう。
例えば、12月のボーナスの算定期間である6月〜11月すべての期間で毎日2時間の部分休業を取得する職員がいるとします。
この職員が部分休業を取得しないで働く場合、
21日(1月の勤務日数) ×6月=126日 となり、
ボーナス算定期間中に126日働くことになります。
もしこの職員がボーナス算定期間である6月〜11月に毎日2時間の部分休業を取得すると、
部分休業を取得した場合の期末手当
(1日−0.25日(2時間の部分休業))×1/2(期末手当の掛け率)×21日(1月の勤務日) ×6月(ボーナス対象月数)=110.25日
期末手当の算定に使われる勤務日数は、ふつうに勤務している職員の87%程度になります。
部分休業を取得した場合の勤勉手当
(1日−0.25日(部分休業を日に換算))×21日(1月の勤務日)×6月(ボーナス対象月数)=94.5日
勤勉手当の算定に使われる勤務日数は、ふつうに勤務している職員の約75%になります。
つまり、部分休業を取得している公務員のボーナスは、普通に働いている公務員のボーナスの最大80%程度となります。
部分休業のメリットと活用法
子供の両親がどちらも公務員の場合、父母両方が部分休業を取得できる!
両親とも公務員の場合、部分休業は一人の子供に対して夫婦がそれぞれ取得でき、子育ての負担を大幅に軽減できます。
部分休業は法律によって公務員ひとりひとりに付与されているからです。
例えば、お母さんが始業時間に部分休業を取得して子供を保育園に預け、お父さんが終業時間に部分休業を取得して子供を保育園へ迎えに行く、ということが可能になります。
夫婦がともに公務員の場合、非常にメリットが大きい制度になっています。
朝の通勤ラッシュを避けられる!
部分休業は子供を保育園幼稚園の送迎を行うために利用するのが本来の制度の趣旨ですが、朝の通勤ラッシュを避けるのに利用する人が多いです。
部分休業により、子育ての負担を減らすだけでなく子育てする職員本人の体力消耗を防ぐことができるからです。
育児で体力が疲弊している時期にラッシュを避けることは大切です。
私の職場の先輩も育児時間を取得して通勤ラッシュを避けている人はいました。
公務員は勤務時間が固定されているため、通勤ラッシュ時間を避けられるのが部分休業の隠れたメリットです。
まとめ
公務員が子育てをしていく上で部分休業は非常に役立つ制度です。
給料やボーナスの減額はありますが、保育園の送迎負担を軽減したり、通勤ラッシュを避けるなど、非常にメリットが大きいです。
本記事をご覧いただき、部分休業制度を是非活用していただけると幸いです。