防衛省専門職とは
防衛省専門職とは、防衛省の内部で国際的な業務に携わる専門職の国家公務員を指します。
数多くある防衛省の仕事の中でも語学を活用して外国との交渉ごとをメインで行います。
防衛省専門職は、その職務内容から公務員の中でも少ない語学力をフル活用できる仕事です。
そのため語学を仕事に生かしたいと考えている方にとっては天職ともいえる職業です。
防衛省専門職の仕事内容
防衛省専門職の仕事は多岐に渡りますが、代表的な防衛省専門職の仕事は以下の通りです。
- 日本と諸外国の高官の通訳
- 諸外国との防衛協力や交流
- 在日米軍や関連自治体との折衝
- 日米間の防衛技術協力の調整
- 大使館に出向して安全保障に関する情報収集
上記のように、防衛省専門職は安全保障に関わるあらゆる仕事を行います。
外国と協働で行う仕事に従事することが多いため、あなたの持っている語学力のスキルをフル活用したキャリアを歩むことができます。
また、語学力だけでなく日本の安全を守るというスケールの大きなミッションに取り組めるため、やりがいも非常に大きいものとなります。
防衛省専門職の試験内容
防衛省専門職の試験は、募集する言語ごとに採用が行われます。
例えば、2019年度はそれぞれ以下の言語について募集が行われました。
- 英語
- ロシア語
- 中国語
- 朝鮮語
特徴として、英語の募集人数が最も多くマイナーな言語は募集人員が少ない傾向にあります。
しかも、欠員状況などによって採用の有無が決まるため、マイナーな言語の場合採用が1人もいない年もあります。
近年の例でいえば、2018年度は中国語、2017年はロシア語の募集人数が0人でした。
過去3年間の言語ごとの募集状況は以下の通りです。
試験区分 | 2019年 | 2018年 | 2017年 |
英語 | 67 | 109 | 91 |
ロシア語 | 6 | 5 | 0 |
中国語 | 4 | 0 | 4 |
朝鮮語 | 7 | 7 | 2 |
合計 | 84 | 121 | 97 |
防衛省専門職の試験科目
防衛省専門職の試験科目は以下の通りです。
- 基礎能力試験
- 専門記述試験
- 論文試験
- 面接試験
- 身体検査
- 性格検査
1次試験は専門記述試験が最重要!
防衛省専門職の1次試験で最も重要なのは専門記述論文です。
筆記試験の中で配点比率が最も高いからです。
防衛省専門職の専門記述論文は、自分が志望する語学について記述式の問題を回答します。
例えば、英語を志望する人であれば英語の専門記述論文、中国語を志望する人ならば中国語の専門記述論文を回答することになります。
どの語学の試験でも基本的に以下の5題が出題されます。
- 日本語から外国語への翻訳問題:2題
- 外国語から日本語への翻訳問題:2題
- 文法問題:1題
問題の内容も非常にレベルが高く、少なくとも大学や社会人時代に語学について集中して勉強した経験がある方でないと得点するのが難しいです。
目安としてはTOEICで700点以上あることが最低条件です。
平成30年度から「語学区分」と「国際関係区分」が廃止され、「語学区分」へ一本化された
防衛省専門職はもともと「語学区分」と「国際関係区分」という2種類の採用区分に分かれていました。
- 語学区分:諸外国との交流や通訳などの対外的業務がメイン
- 国際関係区分:政治・外交などの情報収集・分析などの内部業務がメイン
平成30年度より試験制度が改正され、国際関係区分が語学区分に一本化されました。
これにより、防衛省専門職員として採用された職員は、対外的な業務も内部的な業務もどちらの業務にも従事できるようになりました。
つまり、防衛省専門職員のキャリア選択の幅がより広がったといえるでしょう。
防衛省専門職の合否決定方法
防衛省専門職員の合格者の決定方法は以下の通りです。
1次試験の合格者決定方法
- 合格基準点を超えていること
- 成績の良いものから順番に1次試験合格者とする(1次試験合格者数は過去の辞退率などから算出する)
まず1次試験には合格基準点が存在します(いわゆる足切り点数)
この合格基準点を超えた人の中から1次試験合格者を決定します。
2019年度の合格者基準点は以下の通りです。
基礎能力試験 | 専門記述試験 | 論文試験 | |
全ての語学区分 | 12点/40点 | 40点/100点 | 合否判定のみ |
実際にはこの合格者基準点を下回るような人はほとんどいません。
あまりにも合格者基準点が低すぎるからです。
また、1次試験の配点比率は以下の通りです。
基礎能力試験 | 専門記述試験 | 論文試験 | |
全ての語学区分 | 1/3 | 2/3 | 合否判定のみ |
専門記述試験の配点比率が最も高いため、専門試験で高得点を取れる人が1次試験を突破できる確率が高くなります。
2次試験の合格者(最終合格者)決定方法
2次試験の合格者(最終合格者)の決定方法は以下のとおりです。
- 受験者の面接試験の評定をA〜Eで決定する
- 面接試験の評定がD・Eのものを不合格とする
- 評定の良い人から順番に最終合格者とする(最終合格者数は過去の辞退率などから算出する)
防衛省専門職の2次試験は、シンプルに面接試験の成績の良い人から順番に採用される方式となっています。
(実は私の市役所もこの採用方式をとっていたりします。)
この合格者の決定方法でのポイントは、1次試験の点数が採用にほとんど影響してこないという点です。
例えば、筆記試験をギリギリ通過したような人でも、面接試験でぶっちぎりの得点を得られれば1位合格が可能だということです。
反対に、筆記試験の得点がいくら良くても面接がダメダメであれば合格には至りません。
(私が公務員試験で面接がとても重要だと考えるのは、この合格決定方式を採用する役所が増えてきているからです。)
そのため、面接試験は筆記試験以上に入念な準備をして最高のパフォーマンスを発揮できるよう準備する必要があります。
防衛省専門職の合格倍率
防衛省専門職の2019年度の申し込み状況と合格倍率は以下の通りです。
試験区分 | 英語 | 中国語 | ロシア語 | 朝鮮語 | 合計 |
申込者数 | 287 | 17 | 22 | 21 | 347 |
1次受験者数 | 226 | 12 | 19 | 7 | 274 |
1次合格者数 | 100 | 8 | 4 | 8 | 120 |
2次受験者数 | 80 | 8 | 4 | 8 | 100 |
最終合格者数 | 67 | 6 | 4 | 7 | 84 |
合格倍率 | 4.3倍 | 2.8倍 | 5.5倍 | 3.0倍 | 4.1倍 |
見かけ上の倍率はそれほど高くありませんが、受験者はいずれも語学にたけた高学歴の人ばかりです。
そのため、合格難易度は倍率以上のものとなります。
入念な対策としっかりとした勉強の積み重ねが必要不可欠です。
しかし、どれだけ入念な準備をしても100%合格するとは限りません。
リスクヘッジとしておすすめできる併願先もご紹介します。
外務省専門職は防衛省専門職と併願の相性が良い
防衛省専門職は外務省専門職と併願の相性がとても良いです。
防衛省専門職は外務省専門職とにかよった問題が出題されるからです。
外国語翻訳の記述問題は外務省専門職・防衛省専門職いずれの職種でも出題されます。
出題形式がにていれば勉強の無駄も生まれにくいため、防衛省専門職を受験する方は外務省専門職の併願を検討しましょう。
防衛省専門職と外務専門職の違い
防衛省専門職と外務専門職の仕事内容の違いをご説明します。
まず前提条件としてこれらの仕事は、「語学を生かした業務に従事できる」という点では同じです。
両者の大きな違いは勤務地と職務領域にあります。
- 外務専門職:海外に駐在しながら、特定領域に囚われず幅広い分野で諸外国との折衝を行う
- 防衛省専門職:主に日本国内を拠点として、特に安全保障に関する諸外国との折衝を行う
ざっくりとしたイメージとしては、外務省専門職の方が海外で幅広い業務を行い、防衛省専門職は国内で専門的な業務を行います。
もちろん、勤務地については外務省専門職の方でも日本国内で働くことはありますし、防衛省専門職の方でも海外で働くこともあります。
管理職クラスなら防衛省専門職でも海外駐在がある!
防衛省専門職は、管理職クラスまで出世すれば外務省に出向して大使館で勤務することもあります。
(外務省に出向している防衛省専門職員を「防衛駐在官」と呼びます。)
2019年度の防衛駐在官の派遣状況
(防衛省専門職HPより引用)
1佐クラス(部長クラス)の出向者が大半を占めていますが、2佐・3佐クラス(課長クラス)の人も少数ですが存在します。
いずれにしても最低でも課長クラス以上にならないと海外出向ができません。
つまり、海外駐在をするには基本的に出世コースに載っていることが条件となります。
ここまで出世できなければ外務省への出向はかなわないという事です。
ですが、それを差し引いても語学に関する業務に従事できるのは防衛省専門職の大きな魅力です。
【徹底比較】防衛省専門職受験におすすめの公務員予備校
防衛省専門職受験におすすめの公務員予備校はLECとWセミナー(TAC)の2校です。
というよりも正確には、防衛省専門職に対応している講座を開いているのは大手予備校ではLECとWセミナー(TAC)しかありません。
そのため、LECかTACから予備校を選択することをおすすめします。
防衛省専門職講座を開催している公務員予備校は非常に少ないです。
というのも防衛省専門職は募集定員が少ない割に、公務員試験中トップクラスの難易度です。
見込み客の数も少なくて、手の込んだカリキュラムを用意しなくてはいけないため、予備校側にとってもほとんど収益が見込めないからです。
そんな中で、防衛省専門職で目立った成果を上げていたのがLECとWセミナー(現在はTACと合併)の2校です。
LECとWセミナー(TAC)公務員予備校の比較
予備校 | 費用 | 特徴 |
LEC | 【外務省専門職員1年Standardコース】 ¥386,000(通信、通学) ※「外務省専門職員1年Standardコース」は防衛省専門職の受験に活用できます。 | ・TACよりも受講料が大幅に安い ・外務専門職で重要な専門記述論文の演習講義が全21回もある ・LECの外務専門職模試が含まれる |
Wセミナー (TAC) | 【総合本科生】 | ・防衛省専門職対策講義(単科講義)を開講している ・外務専門職の過去3年分本試験過去問をゲットできる |
LEC外務専門職講座のメリット・デメリット
- 専門記述の演習講義回数が多い
- 受講価格が安い
- 他の職種と併願できるコースが少ない
【LECのメリット】専門記述の演習講義回数が多い
LECは専門記述の演習講義回数が多いです。
LECは専門記述演習が全21回もあります。
(一方、TACは専門記述演習が全10回)
防衛省専門職の専門記述は、筆記試験の配点が高いため最重要科目です。
専門記述論文はとにかく演習を積み重ねて頭の中に答案を叩き込むのが最も効果的です。
そのため、専門記述演習講義が多いLECは筆記試験で大きなアドバンテージを得られます。
【LECのメリット】受講価格が安い
LECは防衛省専門職で圧倒的に安価です。
Wセミナー(TAC)総合本科生が約55万円なのに対して、LECは約38万円で受講できます。
つまり、LECは約17万円安く外務専門職対策講義を受講できます。
公務員予備校の費用を抑えたい人にとってLECは非常におすすめです。
【LECのデメリット】他の職種と併願できるコースが少ない
- 防衛省専門職
- 外務専門職
- 市役所(教養科目のみで受験できる自治体のみ)
LECの外務省専門職員1年Standardコースでは併願できる職種が少ないです。
防衛省専門職は通常の公務員試験と比較して、特殊な科目が出題されるからです。
防衛省専門職の対策だけでは、他の多くの公務員試験種を併願できません。
Wセミナー(TAC)のメリット・デメリット
- 防衛省専門職以外の多数の職種と併願できるコースがある
- TACの防衛省専門職対策単科講座を安く受講できる
- 費用が高い
【Wセミナー(TAC)のメリット】他の職種と併願できるコースがある
Wセミナー(TAC)は防衛省専門職以外の多くの公務員試験種を併願できる「総合本科生プレミアムコース」があります。
このコースでは、国家総合職・地方上級などの多くの試験手を併願できるカリキュラム構成になっています。
防衛省専門職以外の職種を併願したい人にはおすすめです。
【Wセミナー(TAC)のメリット】防衛省専門職対策講座を安く受講できる
Wセミナーの外務省専門職講座の受講生なら防衛省専門職講座の価格が50%オフとなります。
(通常¥30,000のところをWセミナー本科生は¥15,000で受講できる)
Wセミナー主催の単科講義を安く受講できるため、Wセミナーの外務専門職講座を併せて受講する相乗効果があります。
【Wセミナー(TAC)のデメリット】費用が高い
Wセミナー(TAC)は受講料が高いです。
一般的な初学者がTACを受講すると最低でも約50万円以上かかります。
外務専門職は難易度が高く専門的な試験内容のため、一般的な公務員試験よりも費用が高くなります。
Wセミナー(TAC)の防衛省専門職対策講座を併用することで万全の対策!
TACでは防衛省専門職対策の単科講座が存在します。
コース名 | 学習内容 | 価格 | 受講回数 | 受講特典 |
防衛省専門職 対策講座 | 講義・カウンセリング +模試 | 30000円 | 1回 | 模擬面接 (1回) |
Wセミナーの防衛省専門職対策講座は、1回のみのオプション講義という位置づけです。
しかしながら、防衛省専門職試験の肝である論文対策の教材をゲットできます。
しかも、特典として防衛省専門職で最も重要な模擬面接を受けることができます。
防衛省専門職の合否決定方法で紹介したように、面接試験の出来が合否を左右します。
模擬面接を行うことで合格に一歩近づくことができます。
さらに、防衛省専門職講座の論文試験に役立つテキストを入手できるのも魅力です。
TACの防衛省専門職対策講義は、Wセミナー本科生だけでなくLEC本科生も受講できます。 (TAC生は¥15,000、LEC生は¥30,000)
LEC本科生になって受講料を安く抑えつつ、Wセミナーの防衛省専門職の単科講義を受けることができます。
資料請求で割引と詳細なカリキュラムをゲットできる!
資料請求リンク
資料請求でLEC・Wセミナー(TAC)のどちらが自分にあっているかを選ぶのがおすすめです。
LEC・Wセミナー(TAC)は、上記リンク先のページから資料請求することで、1万円の受講料が割引になる案内を受け取ることができるからです。
また、今回紹介した講座以外にいくつかのコースがあるため、資料請求でより詳細なカリキュラム情報をゲットできます。
どちらの予備校も資料請求は無料なので、2つの予備校の資料請求をしてカリキュラムや費用を詳しく比較検討してみましょう!
↓ LEC外務専門職講座の資料請求はこちら
LECは上記のとおり「国家総合職(外専)資料請求」にチェックを入れて資料請求するとパンフレットとお得な割引情報をゲットできます。
↓ Wセミナー(TAC)防衛省・外務省専門職講座の資料請求はこちら
TACは上記のとおり、「講座1」に「公務員」、「内容1」に「外交官(外務専門職)」を選択して資料請求するとパンフレットとお得な割引情報をゲットできます。
【補足】予備校選びで役立つおすすめのハンドブック(無料)
こんな口コミをたまに見かけることがあります。
このような失敗は事前の情報収集が足りなかったことが原因。
そんな情報収集不足を防ぐためには「ココからスタート!公務員試験入門ハンドブック」がおすすめです。
- 【重要】合格者の体験記
→合格者が実際に勉強を行った手順を学べるため、合格する大まかなイメージをつかめる。 - 公務員の種類・職種について詳細が載っている
→職種や受験先を知ることで受験先の幅が広がり、予備校選びに役立つ - 受験先の自治体の倍率や年齢制限などの詳細データ
→受験先に合わせた細かな戦略を立てられる - 合格者が語る「私の苦労したこと&克服法」
→合格者の失敗談を知ることで、効率的な受験戦略を立てられる - 転職者のQ&A
→あなたの不安や疑問を解消できる
上記以外にも公務員受験に役立つ情報が満載。
書店で1,000円くらいで売っていてもおかしくないクオリティです。
公務員予備校を選ぶときだけでなく、志望先の選び方やその後の学習計画の参考にもなりますよ。
このハンドブックは公務員予備校のクレアールが発行している冊子ですが、他の予備校に通っている方でも無料で入手可能。
実際に、ぼくは何度も資料請求していますが、勧誘を受けたことは一度もありません。
\割引クーポンもついてくる/
※数量に限りがあります。
【まとめ】防衛省専門職は語学をキャリアに生かしたい人にとって天職!
防衛省専門職は、語学を生かして働きたいという学生のニーズに応えられる数少ない職業です。
日本のために国際的な業務をできるため、他の公務員よりもスケールの大きい仕事に取り組めます。
外国との交渉など国際的な仕事でキャリアを積みたい方にとって防衛省専門職はまさに天職です!
ここまでご覧いただきありがとうございました。