公務員の扶養手当とは?
扶養手当とは、収入の少ない親族を扶養する職員をサポートする目的で支給される手当金を指します。
つまり、収入が少ない家族を養うのにはお金がかかるから手助けをしよう!という趣旨の手当です。
ただし、親族がいれば無条件に支給されるものではなく、一定の条件を満たす必要があります。
扶養手当はいくらもらえる?
扶養手当は対象者ごとに、6500円〜15000円の扶養手当を受給できます。
受給できる扶養手当の金額
- 配偶者と満60歳以上の父母:6500円
- 重度心身障碍者(年齢制限なし):1万円
- 満22歳以下の孫:1万円
- 満22歳以下の子供:1万円 ※満15歳の4月1日〜22歳の3月31日の扶養手当を受ける子供1につき、さらにプラス5000円
注目したいのが、配偶者や両親の扶養手当が安いのに比べて子供に支給される扶養手当の方が高く、さらに満15歳〜満22歳以下の子供がの扶養手当が5000円上乗せされる点です。
(ちなみに、満15歳〜満22歳は子供がちょうど高校生〜大学を卒業する期間に相当します)
つまり、国は将来日本の労働力を支えていく子供たちへの手当てを手厚くしたいと考えているわけです。
また、配偶者の手当は数年前と比べて徐々に減少しているため、国は夫婦共働き世帯であることをあなたに期待しています。
【福利効果】ボーナスと地域手当にも扶養手当は含まれる
扶養手当の最もいいところは、ボーナスの計算と地域手当の計算位含まれるという点です。
このおかげで月たった数万円の差が年間で大きな差になります。
例えば、配偶者1人と子供2人(満15歳〜22歳)の世帯を持ち、霞ヶ関の本省で働く公務員を想定します。
2019年度の国家公務員は、ボーナスと地域手当が以下のとおりです。
- 国家公務員のボーナス:4.45か月分
- 霞ヶ関本省の地域手当:20%
扶養手当は月額
6500円(配偶者)+3万円(子供2人分)=3.65万円
となり、ここに地域手当20%が加わると、
3.65万円×1.2(地域手当20%)=4.38万円
さらに公務員の毎月の給料12か月分+4.45ヶ月分のボーナスを合計すると
4.38万円×16.45ヶ月=72.05万円
となり、たった1年間で70万円以上の収入生まれます。
仕事で全く同じ成果を上げていている人がいても、扶養手当のあるなしで年間で70万円以上も収入が変わります。
しかもこの扶養手当は回数に制限がないので、若いうちから扶養手当をもらうことで数年後には大きな差が生まれてきます。
若手の公務員は早いうちに結婚・子育てをする人と独身で暮らす人では年収に大きな差が生じます。
扶養手当を受給する条件
非常に多額の収入を得ることのできる扶養手当ですが、当然手当を受けるためには条件が存在しています。
扶養手当を受給する条件
- 扶養手当の受給は被扶養者一人につき1回まで
- 年間の「恒常的な所得」が130万円以内である
扶養手当の受給は被扶養者一人につき1回まで
一人の被扶養者が複数の扶養手当を受け取ることはできません。
例えば、子供の扶養手当を父親が受給している場合、母親は子供の扶養手当を受け取ることができません。
つまり、扶養手当の二重取りができない仕組みになっています。
年間の「恒常的な所得」が130万円以内である
扶養手当を受けるためには恒常的な所得が年間130万円を超えると受給できなくなります。
(巷でよく言われる「130万円の壁」というのがこの部分に該当します)
「恒常的な所得」とは「定期的に受け取っている収入」と言い換えることができます。
具体的には次にあげるものが「恒常的な所得」に当てはまります。
恒常的な所得
- 給与収入
- 公的年金収入
- 不動産収入
- 利子収入
- 配当収入
- 農業収入
- 雑収入
- 雇用保険にかかる失業手当
- 育児休業手当金
- 遺族年金
- 生活保護費
- 傷病手当金
注意したいポイントは、単なる手当金も恒常的な所得に含まれるという点です。
被扶養者の育児手当金や雇用手当金なども恒常的な所得に含まれてしまいます。
被扶養者方でアルバイトやパートで働こうと考えている人は、手当金のことも計算に入れつつ働くことが重要です。
反対に、恒常的な所得ではないものは次のような所得を指します。
恒常的な所得ではないもの( = 一時的な所得)
- 一時所得(競馬の賞金、生命保険の満期返戻金など)
- 出産手当金
- 退職金
これらはいずれも一時的に入る収入で、恒常的に得られる収入ではありません
そのため、扶養手当の計算には含まれません。
給与収入の計算方法
扶養手当の計算には、通常のアルバイト・パートのお給料だけでなく、通勤手当も含まれるので注意が必要です。
通勤手当は、交通費で消えてしまい自分の手元に残らないのに扶養手当の計算に含まれてしまいます。
そのため、家と職場ができるだけ近いところで働くのがポイントです。
ただし年金を受け取っている人は年額180万円未満までOK
公的年金・遺族年金・個人年金などを受給している人の場合、年間合計180万円以内であれば扶養手当をもらえます。
営業収入・不動産収入・雑収入の場合
営業所得・不動産所得・雑収入の場合、収入金額をそのまま計算に用いることはありません。
必要経費を収入から差し引いた金額が130万円を超えていなければ扶養手当を受給できます。
例えば、レストランを経営していて年間収入が300万円あったとしても、アルバイトを雇ったり、レストランの家賃の支払いなどを差し引いた残額が扶養手当の計算対象となります。
扶養手当で必要経費に算入できるもの
- 人件費
- 地代家賃
- 管理費
ただし、扶養手当の計算に使える経費は直接的に収入を得るために明らかに必要だと認められる必要最低限の費用だけです。
必要最低限以外の経費は認められないので注意が必要です。
扶養手当で必要経費に算入できないもの
- 税金
- 旅費
- 交通費
- 接待交際費
- 損害保険料
- 減価償却費
- 福利厚生費
広告費や接待交際費がなくてもレストランの経営はできるのでこれらは経費に含むことができません。
扶養手当を得るために悪意を持って経費を傘増しするのを防ぐために存在する規定です。
株・投資信託・FX取引はケースバイケース!
株や投資信託、FX取引などは各組織の裁量に委ねられているケースが多いです。
細かい部分は組織の規定によって若干異なっています。
ですが、
わかりやすくいうと
「株・投資信託・FXを頻繁に売買していたら恒常所得、年に一度程度しか取引しない場合は一時的な所得」
としている組織が多いようです。
一例を挙げると、ある組織では、
- 株式譲渡の場合、年に一度にすべての株式を譲渡した場合は時的な収入とみなす
- 株を保有し続けてその一部分を売却する場合、恒常的な収入とみなす
- 株の投資で前年に損失を出していても、今年の計算には含めない
といった基準が存在しています。
扶養手当の注意点
扶養手当を受給できないことが判明したら、扶養手当の返還義務が生じる
扶養手当を受給した後に、扶養手当の受給要件から外れていたことが判明した場合、扶養手当を返還する義務が生じます。
扶養手当は過去数年間に遡って取り消されるため、合計100万円以上の返還を求められるケースもザラにあります。
支払いができない場合、今後支給される毎月の給料やボーナスから扶養手当の返還分が天引きされてしまいます。
「職場の人事課が教えてくれなかった!」
と言って揉める人が一定数いますが、たとえ職場の人事課の人が教えてくれなかったとしても、最終的には規則に則って返還するケースがほぼ100%です。
自分が受給要件から外れていないか常にチェックしておく必要があります。
被扶養者が別居している場合、扶養していることを証明する必要がある
多くの組織では、被扶養者が別居している場合、扶養していることを客観的に証明する必要があります。
具体的には、銀行口座の振り込み履歴など、被扶養者に対して送金をしていることを客観的に証明する必要があります。
銀行の振込履歴を提示して証明できない場合、扶養手当の返還を求められるケースも多く存在しています。
例えば、このようなケースもあります。
扶養手当の返還を求められて困っています。
公務員の夫と数ヵ月前まで別居をしていました。
子供は妻である私と一緒に暮らしていたのですが、別居中も夫の給与振込用の銀行カードは私(妻)に持たせてくれていて、毎月の家計管理は私が行っていました。
夫のこづかい・生活費は一度私の銀行口座に入金し、そこから夫が所持している別の銀行口座へと入金していました。
(妻名義の口座→夫名義の口座へ送金)現在は家族全員一緒に暮らしており、夫が妻名義のマンションに引っ越す形となりました。そのため夫と夫以外の家族との転入日が住民票上で異なっており、それを夫の職場に指摘され、別居中も金銭的援助をしていたという証明ができないのであれば扶養手当を全額返金するように求められています。
証明する方法としては、夫名義の口座から妻名義の口座への送金履歴の提出を求められており、上記の方法で別居中の生活費をやりとりしていたため証明する手段がありません。
夫の職場からは証明できないのであれば扶養手当の全額返金を求められているのですが、実際に夫の給与で妻と子供の生活が成り立っていたのでこの要求に納得がいきません。
職場の要求は正当なものなのでしょうか?
弁護士ドットコム(https://www.bengo4.com/c_3/c_1150/b_215030/ )
別居している場合は、扶養していることを証明できるように送金をしてアリバイづくりを忘れずに行いましょう。
扶養手当の今後はどうなる?
国家公務員の配偶者手当が削減されて、子供の扶養手当が増加していきます!
公務員の扶養手当は共働きを前提とした体系にするために配偶者への扶養手当の金額を徐々に減らしています。
一方で、国の活力である子育て世帯を増やすため、子供の扶養手当のがくは徐々に増えていく傾向にあります。
つまり、「子供を持って両親が共働きする家庭」というのが国が最も望んでいる家族の姿です。
今後もこの傾向は強くなっていくでしょう。
少子高齢化が加速するに従って、 独身・子なし世帯は冷遇され、子供がいる共働き世帯に有利な制度に変わっていきます
この流れは扶養手当だけでなく、税金の世界でも同じような流れが起きています
まとめ
結婚して子供を持つことによって年収は70万円以上もアップするケースもあります。
今後の扶養手当の将来を考えると、結婚する場合は夫婦共働きをして、子供を作ることを前提にライフプランを考えていくと将来的にさらに追い風となるでしょう。
経済的にも人生を有利にすすめていくために、結婚・子育てを行なって扶養手当を有効に活用してください。
公務員の扶養手当が魅力的!公務員になりたい!と思った方へ
公務員の扶養手当はサラリーマンの中でもトップクラスで手厚く保証されており、どんな人でも確実に取得できる手当です。
(実際に私の周囲でも家族のいる職員は全員扶養手当を取得しています。)
この記事を読んで「今の企業から転職したい!」「公務員になりたい!」と思った方は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。
扶養手当だけでは物足りない!もっと稼ぎたいと思っているあなたへ
扶養手当だけでは物足りないと感じる公務員のあなたは副業に取り組みましょう。
以下の記事では、公務員でも合法的に稼げる副業を紹介しています。
今すぐに稼げる副業もあるので、家族のために稼ぎたい方はぜひご覧ください。
ここまでご覧いただきありがとうございました。