再任用制度ってどんな制度なの?
再任用のメリット・デメリットは?
こういった疑問にお答えします。
公務員には再任用制度が存在します。
公務員には定年退職後、65歳まで再任用職員として継続して勤務できる再任用制度が存在します。
年金支給開始が後ろ倒しされるのに伴って創設された制度です。
再任用公務員の服務規程
再任用職員の服務規程(公務員の規則や罰則)は定年前の職員と同様です。
例えば、公務員の服務規程には「身だしなみをしっかりする」とか、「セクハラをしない」といった決まりごとや「飲酒運転をしたら懲戒免職処分」といったルールを破ったときの罰則が定められています。
つまり、再任用職員だとしても、通常の公務員と同じようにルールを守る必要があり、ルールを破ったら罰を受けることになります。
任期
再任用職員の1回の契約期間は最大1年間です。
また、定年退職してから5年間まで再任用職員になることができます。
つまり、退職してから5年間の範囲で契約更新を重ねることになります。
私の市役所では、60歳に定年退職した職員が毎年1年任期の契約を5回行い、65歳まで働くのが一般的です。
勤務時間
再任用職員には「フルタイム勤務職員」と「短時間勤務職員」の2つがあります。
フルタイム勤務職員は週38時間45分です。
短時間勤務職員は週15時間30分から31時間までの間で、実際の勤務時間は組織によって異なります。
再任用職員の雇用形態がフルタイム勤務か短時間勤務職員かは組織によって異なる。
多くの市では再任用職員は短時間勤務職員しか存在しないケースが多いです。
横浜市などは再任用職員をフルタイム勤務職員として雇用しているようです。
また、フルタイム職員と短時間勤務職員両方を再任用職員として雇用している組織もあります。
私の市では週31時間の短時間勤務職員を採用しているケースが多かったので、短時間勤務職員の制度について解説していきたいと思います。
勤務時間と休日(週31時間勤務の短時間勤務の場合)
1日の勤務時間は7時間45分です。
お休みは土曜日と日曜日に加えて月〜金の内、ひとつの曜日を選んで取得します。
ただし、月〜金のお休みは任期途中で変更できません。
変則勤務をしている場合、1ヶ月の間に8日間の休みが取得できるように調整します。
休日出勤をした際の振替休日も取得でいます、
休暇制度はほとんどが定年前職員と同じ条件
休憩時間・残業代・夏季休暇・有給休暇・病気休暇・特別休暇制度などは定年前職員と同じ制度を利用できます。
福利厚生面では、再任用職員と定年前職員の待遇差はほとんどまったくないと言っていいでしょう。
私の職場にいる再任用職員も普通に有給を取得して休んでいますし、お葬式などがあれば忌引き休暇を取得しています。
再任用職員の収入はどうなるの?
再任用職員が定年前職員と比べてもっともネックとなるのが収入面です。
再任用職員は定年前職員と比較して大幅に収入がダウンします。
給料は新卒公務員に毛が生えた程度!
再任用職員になると、給料が大幅に減少します。
仮に主任クラスの人が再任用職員として採用された場合、週4日勤務で手取り20万円ちょっとしかもらえません。
家族を持っていたり子育てしている職員にとって手取20万円はかなり少ない給料だと思います。
この金額はあくまで私の市役所の場合ですが、埼玉県ではフルタイム勤務で私の市より手取が少ない職員の方もいらっしゃるようです。
フルタイムで働いているが、給料の手取りは約17万円、ボーナスも2.2ヶ月分であり、収入は少なくなっているが、仕事の量は現役の時とほぼ変わらない。
埼玉県職員組合 2015 年度再任用職員アンケート 記述回答結果より抜粋(http://saitamakensyoku.com/wp/wp-content/uploads/2014/07/951ea80728610e4f5af00cbc7b852a89.pdf)
都内に限らずどこの組織でも再任用職員の給料は新卒並みの金額となっているケースが多いようです。
ボーナスは新卒公務員以下!
再任用職員のボーナスは定年前職員と比較して約5割程度少なくなります。
私の市役所に限らず他のどの組織も、再任用職員のボーナスは平均して約半分程度に減少しています。
仮に主任クラスの再任用職員がボーナスを受け取る場合、額面で年間50万円程度になります。
新卒公務員ですら、額面で年間90万円程度は受け取っているので、新卒公務員以下のボーナスとなります。
再任用職員のボーナスは非常に少ない金額に抑えられています。
一部の手当が支給されない
再任用職員は、一部の手当てが支給されなくなります。
再任用職員に再給されない代表的な手当は、扶養手当と住居手当です。
ただし、地域手当や通勤手当など最低限必要な手当は定年前の職員同様、支給されます。
再任用職員の手当は定年前職員と比較して若干劣っています。
再雇用のメリット・デメリット
再任用職員はこき使われがち!
再任用公務員はこき使われがちです。
再任用職員は給料が大幅に減少する割に、職務の負担が定年前と全く変わらないことが多いからです。
わたしの市役所では、基本的に再任用職員は定年時に努めていた部署に配属され、定年前と同じ仕事をするケースがほとんどです。
私の職場にいた再任用職員は、いずれも定年前と変わらない業務負担が大きくて難易度の高い仕事を任されていました。
たまに、再任用職員専用の楽なポジションに再任用の職を得られるケースもあるため、必ずしも再任用職員の業務負担が大きいわけではありませんが、ポストもそこまで多くありません。
やはり、定年前と同じ職場で働いている人の割合が圧倒的に多いです。
あくまで私の市役所のケースですが、再任用職員は給料と業務負担が見合っていないことが多いです。
それでもやっぱり慣れた環境の職場で働ける点が大きなメリット
再任用職員の最大のメリットは長年勤めた慣れた環境で働ける点です。
60歳を超えた定年退職後に新しい環境で働くのは非常に大変だからです。
給料が少なかったり、業務が大変な点を差し引いても余りあるメリットだと思います。
例えば、再任用職員の仕事は、定年前から長年続けてきた役所の事務仕事です。
再任用職員は役所の仕事のコツやノウハウなどを知っているため、全く新しい仕事を覚えるより格段に少ない労力で済みます。
また、職場には顔見知りが多くいるため、仕事の質問一つするにしても聞きやすい環境です。
役所の仕事が苦手だったり、職場の人と仲が悪い人もいるかも知れませんが、そういう人は再任用職員を希望しない自由もあります。
定年まで勤め上げた職員は役所の仕事にある程度精通し、人間関係を築けている人が多いため、再任用職員になるメリットが大きいケースが多いです。
まとめ
公務員の再任用制度についてまとめてみました。
福利厚生面では定年前職員と遜色ないものの、給料が大幅に減少します。
また、給料が減少するにも関わらず仕事量は定年前と変わらない事が多く割に合わないと感じることもあるかもしれません。
ただ、長年慣れ親しんできた環境で仕事に取り組めるという点は非常に大きなメリットです。
再任用は強制ではなく、希望制なので再任用になるかならないかを選ぶことができます。
ご自身の経済状況や職務の負担を考慮して再任用制度を活用していただけると幸いです。
ご覧頂きありがとうございました。