地方公務員の強みの一つである退職金についてご紹介します。
民間の中小企業では定年退職時の退職金が1000万円にも届かないと言われている中、公務員の定年退職時の退職金はなんと2000万円をも超えることがわかりました!
今回はそんな恵まれた公務員の退職金について、2018年中の退職金について調査した総務省「平成30年地方公務員給与実態調査結果」を基に退職金の額をご紹介します。
地方公務員の退職金平均額
- 全地方公務員の平均退職金:1059.2万円
- 10代の全地方公務員の退職金平均額:18.7万円
- 20代の全地方公務員の退職金平均額:21.1万円
- 30代の全地方公務員の退職金平均額:68.9万円
- 40代の全地方公務員の退職金平均額:400.2万円
- 50代の全地方公務員の退職金平均額:1303.5万円
- 60代の全地方公務員の退職金平均額:2035.8万円
全地方公務員の退職金の平均額は約1000万円程度です。
やはり20代など若手のうちは退職金額が非常に少なく、年を重ねるごとに徐々に増えていきます。
40代を超えたあたりからある程度まとまった額の退職金がもらえるようになり、最終的に60代では2000万円以上の退職金をゲットできます。
思ったより退職金が少ないな〜と思った方もいるかもしれません。
この平均額は定年退職以外にも自己都合退職などを含んでいるため平均を押し下げています。
次に、退職理由ごとに退職金の平均額をみていきましょう!
退職金は退職した理由によって大きく金額が変わる!
退職金は、退職した理由によって支給額が大きく異なります。
退職の理由は大きく4つに分類できます。
- 自己都合退職:自己の都合で退職した場合
- 勧奨退職:勧められて定年前に退職すること
- 定年退職:一定の年齢に達したことを事由に退職すること
- 整理退職:経営困難などの理由による使用者都合の解雇。いわゆるリストラ
退職金の額は
整理退職>勧奨退職>定年退職>自己都合退職
の順番で手当額が大きくなります。
最も高いのは「整理退職」です。
これは労働者側にとっては全く理由がなく、あくまで役所が財政難で人を雇うことができないことなどを理由に行われる解雇です。
使用者である役所の一方的な都合で解雇されるため、退職金の額も大きくなります。
一方で、最も低いのは「自己都合退職」です。
あくまで労働者側の個人的な理由に基づく退職のため、使用者である役所側に落ち度はありません。
そのため、退職金の額も若干低く抑えられています。
地方公務員・自己都合による退職金の年代別平均額
- 全年代の自己都合退職による平均退職金:1059.2万円
- 10代の自己都合退職金平均額:18.8万円
- 20代の自己都合退職金平均額:20.9万円
- 30代の自己都合退職金平均額:60.2万円
- 40代の自己都合退職金平均額:181.0万円
- 50代の自己都合退職金平均額:345.7万円
- 60代の自己都合退職金平均額:123.9万円
地方公務員・定年退職(その他の理由含む)による退職金の年代別平均額
- 全年代の定年退職金平均額:1441.9万円
- 10代の定年退職金平均額:15.6万円
- 20代の定年退職金平均額:163.8万円
- 30代の定年退職金平均額:506.5万円
- 40代の定年退職金平均額:471.2万円
- 50代の定年退職金平均額:885.5万円
- 60代の定年退職金平均額:2116.4万円
※この項目には定年退職以外の「その他の理由」を含んでいるため10代〜50代の退職金額が算出されていますが、公務員の定年は60代なので「60代の定年退職金平均額:2116.4万円」が定年退職時の退職金に近い数字です。
地方公務員・勧奨退職による退職金の年代別平均額
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- 全年代の勧奨退職の退職金:1566.2万円
- 10代の勧奨退職金平均額:9.65万円
- 20代の勧奨退職金平均額:50.5万円
- 30代の勧奨退職金平均額:337.1万円
- 40代の勧奨退職金平均額:803.1万円
- 50代の勧奨退職金平均額:1605.4万円
- 60代の勧奨退職金平均額:2396.7万円
※整理退職については正確なデータはないですが、
退職金の計算方法〜実は市区町村より都道府県の方が有利〜
地方公務員の退職金平均額はわかりましたが、では退職金はどのように計算されるか?という点について
退職金は大まかに次の式で計算されます。
- 退職手当(退職金) = 基本額 + 調整額
- 基本額 = 退職日給料月額 × 退職理由別・勤続年数別支給率
- 調整額 = 調整月額のうちその額が多いものから60月分の額を合計した額
基本額
退職日給料月額とは、地域手当や扶養手当などの手当などを一切含まない純粋な月の給料を指しており、退職する最後の月の給料のことです。
計算式にある「退職理由別・勤続年数別支給率」というのは、次の表の通りです。
いわゆるボーナスみたいに、『給料の◯ヶ月分』というイメージで退職金を受け取ることになります。
勤続年数 | 自己都合 | 定年・勧奨 | 整理退職 |
1年 | 0.6月 | 1.0月 | 1.5月 |
5年 | 3.0月 | 5.0月 | 7.5月 |
10年 | 6.0月 | 10.0月 | 15.0月 |
15年 | 12.4月 | 19.375月 | 23.25月 |
20年 | 23.5月 | 30.55月 | 32.76月 |
24年 | 31.5月 | 38.87月 | 39.624月 |
25年 | 33.5月 | 41.34月 | 41.34月 |
30年 | 41.5月 | 50.7月 | 50.7月 |
35年 | 47.5月 | 59.28月 | 59.28月 |
45年 | 59.28月 | 59.28月 | 59.28月 |
調整額
退職手当の調整額は、在職中の仕事への貢献度をより正確に退職金に反映させるために設けられた制度です。
役職の位が高いほど調整額が大きくなります。
ただし同じ役職でも、国家機関>都道府県>市区町村の順に手当額が高くなります。
例えば同じ部長クラスだとしても、都道府県庁の部長であれば『行(一)9級』となり、退職手当の調整額は475.2万円となりますが、市区町村の部長は『行(一)6級』となり、200.1万円しかもらえません。
退職金に関していえば、同じ公務員でも大きい組織の方が有利です。
職員区分と調整額
退職金の具体例
例えば、公務員勤続1年目に自己都合退職で辞めた場合、退職金12万円程度しかもらえません。
(1年目の新卒公務員の給料が20万円くらいだとしたら、せいぜい12万円程度しか退職金を受け取れない計算)
一方、都道府県庁の部長クラスを定年退職した場合、退職金は4000万円を超えることもあります。
(定年退職時の部長クラス給料月額を60万円と仮定した場合)
これだけの退職金があれば、家のローンや子供の学費を払っても余りある金額です。
老後も悠々自適な生活をおくることができます。
やはり公務員の強みは定年退職まで勤め上げることにあると思います。
まとめ
- 地方公務員の退職金は平均1000万円
- 新卒から定年まで働く、一般的な定年退職なら2100万円程度
- 整理退職>勧奨・定年退職>自己都合退職の順で支給率が高い
- 国家機関>都道府県>市区町村の順で退職手当の調整額が高い
- 部長クラスで定年退職すれば老後は悠々自適な生活をおくれる!!
ここまでご覧頂きありがとうございました。